『憎らしい恋』は、『イカゲーム』のイ・ジョンジェ扮するスター俳優と、『オク氏夫人伝-偽りの身分 真実の人生-』『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』のイム・ジヨン扮する芸能記者を中心にした、大人のロマンティックコメディだ。
■『憎らしい恋』イ・ジョンジェ扮するヒョンジュンが働いていた零細印刷工場
自主映画の刑事役をきっかけに、一躍トップ俳優に返り咲いたイム・ヒョンジュン(イ・ジョンジェ)。しかし、刑事役以外の役を演じたいと願うようになっていた。いっぽう、ウィ・ジョンシン(イム・ジヨン)は政治部の記者だったが、議員の不正を追及し過ぎるあまり、芸能部に左遷されてしまう。そんな二人が再会するところから物語が動き出す。
主演のイ・ジョンジェ(1972年生まれ)は1995年の大ヒットドラマ『砂時計』でヒロイン(コ・ヒョンジョン)の護衛役を演じて以来、ほとんどの作品でクールな二枚目を演じてきたが、2021年に世界的ヒット作『イカゲーム』でダメ男を演じ、大胆なイメージチェンジに成功。今や世界で知られる韓国人の一人だ。『憎らしい恋』でも挫折を経験した俳優役を好演している。
本作はイ・ジョンジェとイム・ジヨンをはじめ、キム・ジフン(『鬼宮』『その恋、断固お断りします』)、ソ・ジヘ(『愛の不時着』『夕食、一緒に食べませんか?』)など、人気俳優陣の人間味ある演技も見ものだが、日本の韓国旅行リピーターにはなじみのあるソウル旧市街の風景も見どころのひとつだ。
俳優人生を一度リセットした主人公が働いていたような小さな印刷工場は、忠武路駅から宗廟前までのびている雑居ビル群、世運商街(セウンサンガ)周辺で見ることができる。日本人の利用が多いホテルPJ、国都ホテルに泊まれば、周囲をひと回りするだけで町工場群に出合えるだろう。
夜遅くまで響く印刷や製本機械の音、金属を削る音、忙しく出入りするオートバイの音などを聞いていると、韓国の経済発展を支えてきたのはサムスンやLGなどの大企業ばかりではないことが実感できる。
町工場の密集地域では、仕事が一段落した人たちが職場の前の路上でマッコリやビールを飲む姿が見られる。「アンニョハセヨ スゴハセヨ マシッケンネヨ(こんにちは、おつかれさまです、美味しそうですね)」と笑顔で声をかければ、ご相伴にあずかれることも。
筆者は日本からの旅行者に付き添ってよく町工場街を散歩するが、何度もそんな経験をした。