老成した人間の魅力をスクリーンで披露してくれることが期待されていた、韓国の国民的俳優アン・ソンギが先月(2026年1月)74歳で亡くなった。今でこそ日本人の目を韓国に向けさせるコンテンツは多彩だが、2000年以前は、初めてふれた韓国文化がアン・ソンギ主演映画だったという人は多い。
去年から今年にかけては、1980年代からアン・ソンギを日本に紹介し続けてきた映画評論家・佐藤忠雄のドキュメンタリー映画が公開されたり、韓国映画振興を目的とする施設「ソウル映画センター」がソウルに開館したり、アン・ソンギが子役デビューした1950年代の韓国映画が日本で企画上映されたりと、因縁を感じるできごとが多い。
今回は韓流ファンにもなじみのある俳優たちと共演したアクションや社会派映画を通して、アン・ソンギの魅力を振り返ってみよう。
■スター俳優たちと共演!国民的俳優アン・ソンギ傑作映画選〈アクション&社会派編〉
●『ソウルの春』チョン・ウソンと共演した『神の一手』(2014年)
アン・ソンギ扮するジーザスとチョン・ウソン扮するクンドルは、囲碁の師匠と弟子の関係だ。二人が服役中、それぞれの独房を隔てる壁を碁盤に見立てて囲碁をするという突拍子もない設定も、両者の佇まいと演技力で乗り切ってしまっている。
終盤、年老いたジーザスが路上で囲碁をするシーンは、ソウルのタプコル公園裏の路上で撮影された。鐘路3街を歩く機会があったらアン・ソンギを偲んでもらいたい。
●『しあわせな選択』ソン・イェジン、『グッドニュース』ソル・ギョングと共演した『ザ・タワー 超高層ビル火災』(2012年)
大火災が発生した超高層ビルが舞台のパニックサスペンス。ソン・イェジン扮するビルのマネージャー、ソル・ギョング扮する消防隊長、キム・サンギョン扮するビルの施設管理者らが高層ビル内部でサバイバルするのに対し、アン・ソンギが扮する消防署長はビルの外で臭いものに蓋をしようとする権力と戦うという、難しい役どころだ。
●『ストーブリーグ』チョ・ハンソン、『スンブ:二人の棋士』チョン・ソギョンと共演した『最高のパートナー』(2008年)
『ストーブリーグ』のチョ・ハンソン扮するソウルのエリート刑事と、その父親で釜山のダメ刑事(アン・ソンギ)が、ある事件のためにバディを組むことになる物語。息子とは確執があり、捜査の仕方も正反対。ぎくしゃくした空気を醸し出す演技はアン・ソンギならでは。
二人の息が合ったところで事件の背景が明らかになるのだが、そこで意外な役を演じたのが『家いっぱいの愛』や『Missナイト&Missデイ』の名バイプレイヤー、チョン・ソギョンだ。

