『都会の部長 田舎へ行く ~異動先はシムウミョン ヨンリリ~』は、映画『新しき世界』の冷酷な企業ヤクザ役などのイメージが強いパク・ソンウン扮するソウルの会社員テフンが、突然の人事異動で農村に移住するヒューマンドラマだ。
テフンはキムチの主材料である白菜を開発し、実績を作ってソウル本社に復帰しようとするが、農村の人々を敵に回してしまって大苦戦。父親についてきた家族たちもそれぞれ問題に直面する。(以下、一部ネタバレを含みます)
■『都会の部長 田舎へ行く』パク・ソンフン扮する主人公は苦戦するが、長男にはラブロマンスが
本作は地方に左遷された主人公がカルチャーギャップに悩むという、最近の韓国ドラマや映画ではよくある設定なのだが、主人公の妻ミリョ(イ・スギョン)、長男ジチョン(イ・ジヌ)、次男ジサンと三男ジグも、農村でそれぞれの問題に直面。苦悩、奮闘する様子がテンポよく描かれ、序盤ですっかりハートをつかまれる。
主人公のテフンは村長から嫌われた上、短期間で白菜を育てろなどとソウル本社から無理難題を押し付けられギブアップ寸前だが、持ち前の実直さが心ある村人に少しずつ認められてゆく。そこが見どころだ。
ちなみに1話のラスト、テフンが畑で「ナー トラガルレー!(オレは戻るぞ~!)」と叫んでソウル復帰を宣言するシーンは、往年の名作映画『ペパーミント・キャンディー』(イ・チャンドン監督)の冒頭、ソル・ギョング扮する主人公が線路上で絶叫するシーンのパロディだ。
当初、突然の田舎暮らしに文句ばかり言っていた妻ミリョだが、いったん肝が据わると思わぬ適応力を発揮。農村の女性コミュニティに積極的に飛び込んでゆく姿が潔い。
この場面で思い出すのは、地方に移住してきたが、ソウル風を吹かせるあまり住民に嫌われてしまうシングルマザー(チョン・ドヨン)がどん底に叩き落される映画『シークレット・サンシャイン』(イ・チャンドン監督)だ。彼女にミリョのような適応力があったら、あんな目に遭わずに済んだはずだ。
本作は移住者vs地元民の対立ばかりが描いているわけではない。
長男ジチョンはラブロマンス担当だ。彼は田舎のよさを理解できる情緒性の持ち主。農作業や学校の給食作りの手伝いなどをしているうち、村のマドンナ、ボミ(チェ・ギュリ)に一目ぼれしてしまう。牧歌的な恋はすぐに実るかと思われたが、そこにライバルの若い巡査(パク・ウジン)が登場する。