いいドラマや映画には主人公とコントラストを成す悪役が必須だ。『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』のジュヨン(キム・ソヒョン)、最近韓国で1600万人動員を記録した大ヒット中の映画『王と生きる男』の光海君(ユ・ジテ)、『ベテラン』のテオ(ユ・アイン)、『宮廷女官チャングムの誓い』のチェ尚宮(キョン・ミリ)はその好例だろう。
『韓国でビルオーナーになる方法』は、億単位の借金をして小さなビルを手に入れたスジョン(ハ・ジョンウ)が差し押さえの危機に瀕する話だ。窮地に追い込まれる演技が巧いハ・ジョンウが魅力的なのはもちろんだが、彼を裏切り、利用しながらも親友面してすり寄ってくるファルソン(キム・ジュンハン)がどす黒い光を放っていて、物語への没入感を高めてくれる。(以下、一部ネタバレを含みます)
■『韓国でビルオーナーになる方法』親友スジョンの前で「危うい友情」を歌う醜悪なファルソン
本作7話のファルソンとイギョン(チョン・スジョン/クリスタル)の結婚式の二次会シーンでは、スジョンとファルソンの蜜月時代が描かれていた。
会場の日本式居酒屋でスジョンを無二の親友と紹介したファルソンがマイクを取って歌ったのは、チャ・テヒョン主演映画『過速スキャンダル』に出演したこともある歌手ホン・ギョンミンの「フンドゥリン ウジョン」(2000年)のユーロリミックス。
酒席を盛り上げるテンポのよい曲だが、タイトルを意訳すると「危うい友情」。歌詞の内容は友だちの彼女を好きになってしまった男の苦悩である。のちのスジョンとファルソンの関係を匂わすアイロニーだ。これをノリノリで踊り歌うファルソンは醜悪そのもの。監督や視聴者が自分に何を期待しているかを完璧に理解しているキム・ジュンハンの名演技だ。
キム・ジュンハンは、『アンナ』では主人公アンナ(ペ・スジ)と結ばれるエリートだが支配的な夫役、チョン・ドヨン主演映画『リボルバー』では善と悪のあいだを揺れ動くグレーな役、『グッド・パートナー~離婚のお悩み解決します~』では、主人公の弁護士(チャン・ナラ)の心の支えとなる人物を好演した。
これまでも役柄の広さを感じさせてきたキム・ジュンハンだが、『韓国でビルオーナーになる方法』での見る者をモヤモヤさせる演技で、今後は悪役が増えるだろう。