イタリアマフィアの元顧問弁護士のヴィンチェンツォ(ソン・ジュンギ)が、故郷の韓国に戻り、雑居ビルに隠された金塊をめぐって繰り広げられる人気韓国ドラマ『ヴィンチェンツォ』。そのロケ地を訪ねてソウルの汝矣島(ヨイド)漢江公園を訪ねた。公園の入口にあるセッカン文化橋がロケ地だった。
主人公がこの橋の上に立つ。実母に会った日のことだった。公園のなかのロケ地は、ドラマに映り込んだ風景そのまま。ドラマのシーンに入り込むことできる場所が多い。それが公園内ロケ地のよさだった。
■ロケ地として有名なソウル中心街の汝矣島漢江公園はどんなところ?
汝矣島漢江公園はソウルの中心街にある公園だ。セッカン文化橋の背景は都市型の高層ビルである。僕はそこにある公園は、整備された街路樹がつづく都市型公園かと思っていた。しかし橋の下に広がっていたのは、手つかずの森を想像させる風景だった。水草が川の周囲を覆い、そこに踏み込むことは大変そうだった。わけ入れば、そこに住む水鳥がガーガーと鳴きながら姿を見せそうな気配すらあった。
橋の途中に階段があったので、下に広がる公園におりてみた。ほとんど人がいない。道はつくられていたが、それは曲がりくねっていて、その先は灌木に覆われて視界がきかない。子供の頃、友達と自転車に乗って、街から少し離れた森に入っていったときを思い出した。ちょっとした冒険だった。
汝矣島漢江公園の手つかず感は、ソウルの市街地公園とは思えなかった。ロケ地としては有名な駱山(ナクサン)公園のほうがはるかに整備されている。
どこに向かって歩くという雰囲気はなく、ただ灌木や背の高い草に覆われた公園のなかでぼんやりする世界だった。ベンチも多くない。小さな川に沿った道をぷらぷらと歩いた。人がいない。ときおり鳥の声が聞こえる世界だ。やっとひとつのベンチをみつけ、そこに腰をおろした。
天気はよかった。ベンチに横になってまどろみたい気分だった。と、人が近づいてくる気配があった。しばらくすると、ひとりの中年男性が現れ、僕の前を通りすぎていった。裸足だった。以前、朝鮮通信使が歩いた道といわれる鳥嶺古道を歩いたときを思い出した。そののぼり口の道は細かい砂が敷かれ、皆、裸足で歩いていた。足裏からの刺激が体にいいという健康法だと知らされた。
僕の前を通りすぎた男性は、裸足歩き健康法を実行してるようだった。しかし鳥嶺古道はそのために整備されていた。しかし汝矣島漢江公園の道は、石が転がっていたり、倒木が横たわっていたりする。水溜まりもある。裸足で歩くのはかなり痛そうだった。
そんな公園がソウルの中心街にあることが不思議だった。30分近く森のなかを歩いただろうか。自分のいるところがわからなくなり、ネイバーマップを開いてみた。僕は公園の東側にいるようだった。地図を拡大してみた。
「ん?」
そこには国会議事堂という文字が見えた。「国会議事堂は汝矣島漢江公園のなかにあったのか」
僕はこの公園に足を踏み入れたのははじめてだと思っていた。しかし国会議事堂がこの公園のなかにある……。