イム・ジヨンはかつて『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』で、血も凍るような冷血なイジメ役を演じていた。その演技が注目を集め、『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』で堂々たる主演女優となり、さらに『素晴らしき新世界』の大ヒットで今やトップ級の存在感を示している。(以下、一部ネタバレを含みます)

■イム・ジヨンは『素晴らしき新世界』で蝶が逆風を受けて舞い上がるように奔放に演じている

 1990年生まれのイム・ジヨン。大学時代から女優としてキャリアをスタートさせており、助演として経験を積んできた。知名度を一気に上昇させたのが『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』(2022~2023年)。ソン・ヘギョがヒロインのムン・ドンウンを演じたが、イム・ジヨンは気象キャスターのパク・ヨンジンに扮していた。

 このヨンジンは18年前の高校時代に仲間の不良グループと一緒にドンウンを執拗にイジメ抜いた。その凄惨な場面は視聴者の感情を逆なでにして、ヨンジンのイメージは典型的な「悪の権化」となった。

 それなのに、ドラマの中のヨンジンは裕福な生活を謳歌する。その度に視聴者の反感は大きくなっていく。最後になってヨンジンはドンウンの用意周到な復讐劇の標的になって崩れていくのだが、その転落は見ている人の留飲を大いに下げる結果になった。

「悪役は憎まれてこそ本領」

 この言葉が象徴するように、イム・ジヨンは演じたキャラが徹底的に憎まれたことで、演技派としての印象度を飛躍的に高めた。

 その後の彼女は、『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』で主役の奴婢クドクに扮した。この主人公はやがて令嬢オク・テヨンに成り代わっていくが、そのプロセスを美しく演じて、イム・ジヨンの評価は揺るぎないものになった。

 次回作として持ち込まれたオファーは多かっただろうが、イム・ジヨンは『素晴らしき新世界』を選んだ。そして、朝鮮王朝時代の悪女が現代にタイムスリップしてスマホを使いこなす、という振り幅が大きい役に扮した。

 朝鮮王朝時代は国王の側室。現代では無名の女優シン・ソリ。さらに、チャイル財閥の後継者チャ・セゲ(ホ・ナムジュン)と運命的なラブロマンスを繰り広げていく。女優であれば誰もが担ってみたい魅力的な主人公であるに違いない。

 この主人公をイム・ジヨンは蝶が逆風を受けて舞い上がるように奔放に演じて、大ヒットに導いている。

Netflix『素晴らしき新世界』独占配信中 画像:SBS