映画『オールド・ボーイ』『破墓/パミョ』など、個性的かつ圧倒的な存在感を放ち、多くの観客を魅了してきたベテラン俳優のチェ・ミンシク。彼が主演を務めるNetflix配信作『最後列からの声』が、予想を覆すどんでん返しの連続で話題を集めている。

 スペインの劇作家ファン・マヨルガの舞台戯曲を原作とする本作で、チェ・ミンシクが演じるのは、自分の夢を託せる教え子に出会ったことで、妄想と暴走に歯止めが利かなくなっていく大学教授ホ・ムノだ。

 一方、生活に追われながらも、ムノに文才を認められる大学生イ・ガンを、『弱いヒーロー』『二十五、二十一』のチェ・ヒョンウクが演じる。

 この二人の濃密なケミストリーが物語をけん引し、スピード感あふれる予想外の展開に、視聴者は次第に本作の沼へと引き込まれていく。(以下、一部ネタバレを含みます)

■Netflix『最後列からの声』チェ・ミンシクの怪演とチェ・ヒョンウクの謎めいた演技に引き込まれる

 ホ・ムノ(チェ・ミンシク)は、かつて一冊だけ小説を出版したことがある。しかし、その処女作を大学の同期で人気作家のキム・スフン(ホ・ジュノ)から酷評されたことが大きな心の傷となり、その後20年間、小説を書けずにいた。

 現在は大学で国文学科の教授として教壇に立ち、学生たちに作文の課題を出している。しかし、どの作品にも物足りなさを感じ、厳しい採点を下すムノは、学生たちから偏屈で劣等感の塊のような人物だとみられている。

 そんなある日、いつも教室の最後列に座る学生イ・ガン(チェ・ヒョンウク)の作文がムノの心を大きく揺さぶった。

 ガンは、裕福で幸せそうなキム・セユン(イ・ジヌ)一家に憧れを抱き、意図的にセユンへ近づいた。そして、その作戦は成功し、親友として自宅に招かれるまでになった。その経緯が、驚くほどリアリティのある文章で綴られていたのだ。

 ガンの文才に魅せられたムノは、個別指導を申し出る。条件付きでその提案を受け入れたガンだったが、さらにセユンの家に入りこむため、ムノに思いもよらぬ協力を求める。当初は拒否していたムノだったが、ガンの作品の続きを読みたいという強い欲望に駆られ……。

Netflix『最後列からの声』独占配信中
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 プライベートでは子宝に恵まれず、妻(チン・ギョン)との関係も冷え切っているムノにとって、ガンが紡ぐ物語は、映画やドラマさながらの刺激に満ち、唯一の生きがいとなっていく。

「早く続きを読ませてくれ」と催促を重ねるムノの姿は、まるで漫画の続きが待ちきれない子供のようで、どこか滑稽だ。そして、ガンが新人賞を受賞すれば、その師である自分も小説家として認められるはずだという妄想にまで取りつかれる姿は、痛々しくもある。

 気付けば師弟関係が逆転し、ガンのペースに完全に飲み込まれているムノ。その滑稽さと悲哀を、チェ・ミンシクはユーモアと哀愁を絶妙に織り交ぜながら演じきっている。

 一方、純朴そうに見えながらも、どこか底知れない影を秘めたガン。その二面性を、チェ・ヒョンウクは、鋭い目線やわずかな口元の動きで巧みに表現し、強い存在感を放っている。

 回を追うごとに衝撃の真実が明らかになる。ガンが書く文章に引き込まれるムノと同じように、視聴者もまた全6話を一気見したくなるに違いないジェットコースターサスペンスだ。

●配信情報

Netflix『最後列からの声』独占配信中

[2026年/全6話]演出:キム・ギュテ 脚本:チャン・ミョンウ

出演:チェ・ミンシク、チェ・ヒョンウク、ホ・ジュノ、キム・ユンジン、チン・ギョン、チョ・ハンチョルペク・ジュヒハン・ジウン、チョン・イソ、イム・ジェヒョク