それぞれの秘密を隠して市井の人のように生きているキム(ソ・ジソブ)とその旧友ジン・チョル(ユン・ギョンホ)&ハンス(チェ・デフン)が、行方不明になったキムの娘ミンジを捜索する物語『エージェント・キム: リアクティべーティッド』。第5話ではミンジが魔の手を逃れ、ホッとしたのも束の間、再び窮地に陥ることになる。(以下、一部ネタバレを含みます)

■娘思いの父親が奮闘する話が大好きな韓国

 本国では第4話放送時にすでに視聴率20%超えを記録している『エージェント・キム』。その背景にあるのはスター俳優ソ・ジソプの人気だけではない。本作が、父親が命を投げ打ってでも愛娘を守ろうとするタルパボ(親ばか、娘を溺愛すること)ドラマであるのもその理由だろう。

 韓国には、ラ・ミラン主演ドラマ『良くも、悪くも、だって母親』、イ・ヨンエ主演映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』、キム・ヘジャ主演映画『母なる証明』、チョン・ドヨン主演映画『シークレット・サンシャイン』のような息子思いの母親の物語も多いが、父親のタルパボものも負けずに多い。

 大ヒットドラマ『おつかれさま』(父パク・ヘジュン、娘IU)、1200万人以上を動員した映画『7番房の奇跡』(父リュ・スンリョン、娘パク・シネ)、ドラマ『タッカンジョン』(父リュ・スンリョン、娘キム・ユジョン)、映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』(父コン・ユ、娘キム・スアン)、映画『ロボット:SORI(音)』(父イ・ソンミン、娘チェ・スビン)、映画『さまよう刃』(父チョン・ジェヨン、娘イ・スビン)、映画『優雅な世界』(父ソン・ガンホ、娘キム・ソウン)などがその例だ。

■北と南の狭間で苦悩するキャラクター

 本作ではいわゆる南北分断ものの必須要素として、北朝鮮と韓国の板挟みで苦しむ者たちの姿も描かれている。

 ソ・ジソブ扮するキムは結果的に祖国(北朝鮮)と敵対しているが、だからといって韓国側に尻尾を振ったりしもしない。そのため、北朝鮮側からは追われ、韓国では監視対象になっている。そのあたりの苦悩がキムのキャラクターに厚みをもたせている。

 こうした描写やキャラ設定は過去の南北分断映画やドラマでも多くの名場面を生んでいる。

 Netflix映画『HUМINT/ヒューミント』では、病気の母親の治療費を稼ぐために南北の狭間で苦悩する女性(シン・セギョン)と、彼女を愛するあまり祖国北朝鮮を裏切るリスクを背負う男性(パク・ジョンミン)の演技が見ものだった。

平壌の万寿台に建てられた金日成主席像と金正日総書記像
北側から見た板門店