さらに注目したいのが終盤の展開だ。そこでは、1504年に起こった甲子士禍(カプチャサファ)という虐殺事件をモチーフにしたエピソードが描かれていた。
この甲子士禍は、学識派の官僚を燕山君が虐殺するという、彼の異常さを象徴する大事件である。だが、『暴君のシェフ』では、ジヨンの粘り強い説得によってイ・ホンがようやく自制心を取り戻すという展開になっていた。
それは、燕山君を必要以上に美化しているという見方もあるが、それより彼にも相応の事情(官僚との対立など)があったという新しい解釈を提起する側面も示していた。
史実に新しい視点を加えるというのも『暴君のシェフ』のような時代劇の持つ革新性であり、現代的な解釈を加えることで作品には新たな生命が宿るのである。
●配信情報
Netflixシリーズ『暴君のシェフ』独占配信中(毎週土・日更新)
[2025年/全12話]演出:チャン・テユ 脚本:fGRD
出演:イム・ユナ(少女時代)、イ・チェミン、カン・ハンナ、チェ・グィファ、オ・ウィシク、ユン・ソア、イ・ジュアン、パク・ヨンウン、キム・グァンギュ、ホン・ジンギ