フランスの古典小説『危険な関係』を原作に、舞台を朝鮮王朝時代に置き換えて制作された2003年の映画『スキャンダル』。『冬のソナタ』で一躍人気を博したペ・ヨンジュンの映画初出演作としても大きな話題を呼んだ作品だ。そのリメイク版として新たにドラマ化された『スキャンダル』がNetflixで配信中だ。
ドラマでは、気位の高い高官夫人に扮するソン・イェジンと、稀代の好色男を演じるチ・チャンウクの愛の駆け引きが繰り広げられ、映画とは一味違う世界観を楽しむことができる。(以下、一部ネタバレを含みます。)
■Netflix話題作『スキャンダル』朝鮮王朝時代の両班が抱える悲哀に胸が苦しくなる
ときは朝鮮王朝第22代王・正祖(チョンジョ)の時代。両班の娘、チョ・ユン(ソン・イェジン)は、幼い頃から勉学に励み、卓越した才能を持つ女性だ。互いに想いを寄せ合う従弟のチョ・ウォン(チ・チャンウク)と密かに文を交わすことで、ユンは女であるがゆえに日の目を見ることができない自分を慰めていた。
父に背くことができないユンは、父が勧めるユ大監(イ・ジフン)のもとへ嫁ぎ、チョ氏夫人として穏やかな結婚生活を送っていた。
一方、ユンへの想いが叶わなかったウォンは、王に一目置かれるほどの才能に恵まれながら、稀代の好色男としてその名を馳せていた。
子宝に恵まれないユンは、家の跡継ぎをもうけるため、ユ大監の目に留まった煙草屋の次女、ソオク(シン・ユナ)を側室に迎える。しかし、側室の理想像とはほど遠いソオクの無邪気な振る舞いに、ユンはいら立ちを募らせる。
久しぶりにウォンを呼び出したユンは、「ソオクを妊娠させてほしい」とウォンに頼む。ところがウォンは、ソオクよりも魅力的な左議政家の寡婦、アン・ヒヨン(ナナ)を落としてみせると豪語する。
そして、その賭けに成功した暁にはウォンの長年の夢を叶え、失敗したらユンの望み通りにする。2人はそんな危険な約束を交わすのだが……。
現在でも数多くの伝統韓屋が建ち並ぶソウル・北村(プッチョン)を舞台に繰り広げられる愛憎の物語。
夫の死後も貞操を貫くことが美徳とされ、貞操を守った女性が「烈女」として称えられた朝鮮王朝時代。儒教的な男女の秩序が社会に根付いていた時代背景のなか、女であるがゆえに自由に生きることができない悲しみを隠し、美しさと気品、そして気高さを放つユン。
映画版でイ・ミスクが演じたユンとは異なる新たなユンを、ソン・イェジンが見事に演じている。
一方、前半では軽いノリで女性たちを翻弄するウォンだが、物語が進むにつれ、ユンとヒヨンとの板挟みに苦しむようになる。時代の犠牲者ともいえるウォンの二面性を演じ分けるチ・チャンウクに注目してほしい。
また、両班のユンとウォンが叶えられなかった恋を、ウォンの下男・チルソンとヒヨンの下女・ウンシルがいとも簡単に叶えてしまうという皮肉も描かれている。それが、ユンとウォンの叶わぬ恋の哀しさをいっそう際立たせている。
●配信情報
Netflix『スキャンダル』独占配信中
[2026年/全8話]演出:チョン・ジウ 脚本:イ・スンヨン、アン・ヘソン クリエイター:キム・ジェジュン
出演:ソン・イェジン、チ・チャンウク、ナナ、ハン・ソナ