Netflix配信の韓国時代劇『スキャンダル』は、朝鮮王朝時代を舞台にして、危険な恋愛ゲームを競い合うチョ氏夫人(ソン・イェジン)とチョ・ウォン(チ・チャンウク)が主人公になっている。ドラマ版はこの2人の華麗な競演が見事だが、2003年に作られた本家の映画『スキャンダル』では主役のペ・ヨンジュンが圧倒的な存在感を誇っていた。(以下、一部ネタバレを含みます)

■ペ・ヨンジュン映画初主演作『スキャンダル』、キャスティングの経緯は?

 映画『スキャンダル』にも本家があった。この映画のストーリーの元になったのは、フランス文学の古典と称される小説『危険な関係』である。

 フランス革命前のブルジョワ階級の退廃した世界を暴いた作品なのだが、この小説の設定を朝鮮王朝時代に移して映画『スキャンダル』は制作されており、愛欲に溺れる貴族とその標的になった貞淑な寡婦を抒情的に描いていた。

 主役のペ・ヨンジュンが演じたのは、危険な香りを持った貴族チョ・ウォン。そして、彼のいとこが聡明なチョ氏夫人であり、イ・ミスクが演じていた。

 チョ氏夫人は高官の妻だが、退屈な日常生活に不満があった。そこで彼女は、人をもてあそぶような恋愛ゲームに没頭するようになる。

 実際、チョ氏夫人は「夫の若き妾を妊娠させてみないか」とチョ・ウォンをそそのかす。しかし、彼が狙っていたのは婚約直後に夫に先立たれた美しい寡婦であった。チョン・ドヨンが扮していたが、この寡婦は生涯にわたって貞操を守り通す覚悟を決めていた。

 それほど意志の強い寡婦をどのように愛欲の世界に引き込むか。そのプロセスを映画は優雅なテンポで描いていた。

 この映画が日本でも注目を集めたのは、ペ・ヨンジュンが『冬のソナタ』の大ブレークの後に映画界に進出して初主演に挑んだからだ。

 演出のイ・ジェヨン監督はどのようにペ・ヨンジュンをくどいたのか。そこに興味を持って筆者は2004年6月にイ・ジェヨン監督にインタビューをした。すると、意外な事実がわかってきた。