果たして、韓国時代劇が描くストーリーには、その裏にどんな史実があるのだろうか。そこにスポットを当てたのが『謎解き!朝鮮王朝 宮廷ミステリー 韓国時代劇の「なぜ?」を解明する』である。本書が誕生する経緯や韓国時代劇の深い魅力について、著者の康熙奉氏に話を伺った。
■韓国時代劇で描かれる大事件の真相を解き明かす!『謎解き!朝鮮王朝 宮廷ミステリー』著者・康熙奉インタビュー
――韓国時代劇は日本でも人気が高くなっています。今回の書籍は、ドラマを見ていると必ず抱く「なぜ?」という疑問に真っ向から答えてくれる一冊です。執筆のきっかけを教えていただけますか?
康熙奉(以下、康):韓国時代劇の中でも朝鮮王朝を舞台にした宮廷劇はミステリアスな部分が特に強調されていきます。王位を巡る骨肉の争い、側室の陰謀、王族女性の暗躍といった愛憎劇が本当に面白いですよね。ただし、日本の視聴者からすると「不可解な謎」が多いのも事実です。
こうした疑問を放置せず、史実に照らし合わせて丁寧に解き明かせば、ドラマへの理解が深まり、面白さが何倍にも膨れ上がると考えました。それが執筆のきっかけです。
――確かに、隣国とはいえ日本と韓国は歴史観が違うために、韓国時代劇を見る際に表面的なストーリーを追うだけではわかりにくい部分がありますね。
康:印象的な場面の背後にある「文脈」や「社会構造」を知ることがとても重要なのです。実際、韓国時代劇の傑作が次々と生まれる背景には、朝鮮王朝の歴史自体が波乱万丈でドラマチックだという事実があります。何よりも、壮絶な史実が『朝鮮王朝実録』という第一級の史料によって、極めて正確に現代に伝わっています。
――これまで『朝鮮王朝実録』を翻訳してきて何を特に感じてこられましたか?
康:数百年前に書かれた記述なのに、まるで昨日起きた事件のように生々しく、当時の人々の息遣いまで伝わってくるほどの臨場感があります。私はこれらの事件を詳細にたどる中で、現代の読者に向けて「絶対に知っておくべき歴史の真実」をわかりやすく語りたいと思うようになりました。
――それは単なる歴史解説ではないということですね。
康:はい。『朝鮮王朝実録』に書かれているのは、苛酷な身分制度と激動の時代を必死に生きた「人間の証」そのものです。人間は極限状態に置かれたとき、どう生きて、何を考え、後世に何を残そうとするのか。そこには韓国の歴史という枠を超えた、人間の普遍的な姿が見えてきます。だからこそ、ドラマチックで心に刺さるのだと思います。
――本書では、歴代王や歴史を動かした女性たちの謎にも深く迫っていますね。
康:全体的に今回の書籍では、読者の皆さんが時代劇の世界観を深く理解できるように構成しました。たとえば、「暴君と悪女」を取り上げている部分では、「最悪の暴君である燕山君(ヨンサングン)がなぜ倒されなければならなかったのか」「文定(ムンジョン)王后はどうして悪女の本性を隠さなかったのか」について触れています。他にも、「思悼世子(サドセジャ)がなぜ餓死させられたのか」というように、ドラマでよく描かれる事件の真相を掘り下げています。