■事件後も懲りない犯人2人。特にクラークが……
エリックは1980年に出所し社会復帰したが、経済犯罪の疑いでスウェーデン当局から追われて逃亡し、タイで15年間居住。2006年に自ら出頭したが、その時には嫌疑は晴れていた。
一方のクラークは1975年3月20日に刑務所から脱走し、デンマークのコペンハーゲンで銀行強盗を働いた。その金で世界中を旅行し、スウェーデンに戻って銀行強盗を働いて逮捕。懲役8年を求刑されたが、3週間後に脱走。1976年に逮捕され、獄中で結婚した。
ここまででお腹いっぱいだが、クラークの犯罪歴はこれで終わらない。
クラーク・オルフソンのインタビュー映像
※YouTubeチャンネル「Gistad」より
■75歳のいまも“イケ爺”なクラーク
1983年に釈放されると、1984年にベルギーで25キロの覚醒剤を密輸した疑いで逮捕。1991年に釈放され、1998年に麻薬密輸の責任者としてカナリア諸島のテネリフェ島で逮捕。1999年に、49キロのアンフェタミンをデンマークに密輸した疑いで14年の禁錮刑を宣告された。
2005年に仮釈放されると、2008年に逮捕され、オランダから100キロのアンフェタミンと76キロの大麻を密輸しようとした罪で起訴された。クラークは2009年7月に14年の禁固刑とオランダからの終身国外追放の判決が下された。
2018年7月30日、クラークは釈放。75歳となった現在は故郷のスウェーデンに戻り一般市民として暮らしているが、地元テレビが放送した動画を見ると、多少おなかも出て髪もやや薄くなったものの、なかなかの“イケ爺”ぶり。
たまに事件のあったノルマルム広場でガイド(!)をしているようだが、立ち居振る舞いや語り口も魅力的で「あ~、これなら人質がイチコロになっても……」と思わせる印象も健在だ。
クラーク・オルフソンの現在の姿
※YouTubeチャンネル「Dokumentären Gewe」より
クラークはスウェーデン史上最も有名な犯罪者であることは疑いのない事実。しかし、日本人が知っている「ストックホルム症候群」の“人質になった被害者が、犯人に好意的な感情を抱く現象"というイメージとは違い、ドラマで描かれたようにクラークの個人的な魅力によるところが大きかったのかもしれない。
「クラーク・オルフソン」(Netflix)
https://www.netflix.com/title/81113742