■食べ過ぎると死ぬ!? 激ヤバな神経毒をもっていた銀杏

 銀杏と言えば「美味いんだけど、実がう〇こ臭い」と敬遠する方も少なくない。なかには、晩秋の時期にこのう〇こ臭が立ち込めるのが嫌だと街路樹を切れなんてクレームをつける人もいるのだとか。この臭いのもとは果肉に含まれる「酪酸(らくさん)」という成分で「脂肪の腐った臭い、足の蒸れた臭い」などと説明されている。また、果肉にはアレルギーのもとになる成分もあり、直接触れるとかぶれや水疱を起こすこともあるのでご用心願いたい。

こいつが「う〇こ臭」のもと。とはいえ、これで3億年生き残ったと思えば感慨深い香り? /WikimediaCommonより

 さらに、銀杏にはその名も「ギンコトキシン」という神経毒を含んでいる。具体的にはビタミンB6を欠乏させる成分が含まれているため、食べ過ぎると中毒症状を引き起こすことがある。症状は下痢、嘔吐(おうと)、眩暈(めまい)、痙攣(けいれん)、不整脈、発熱、呼吸困難などで、1日5〜6粒程度でも中毒になることがある。小児の場合、15粒程度で死亡した例も報告されているので、注意が必要だ。

  とはいえ、臭いもアレルギー成分も毒性も、すべては動物や鳥にむやみに食われないための生存戦略。3億年近く生き抜いてきたイチョウの偉大な知恵といえるのだ。地球上の生命誕生の歴史まで感じさせる太古の植物、イチョウ。その奇跡の歴史を大切にしたい。