■ご祭神は「空飛ぶ船」の饒速日命
本殿は3殿あり、中央の第1殿は饒速日命(にぎはやひのみこと)を祀る。前回の石切劔箭神社(いしきりつるぎやじんじゃ)と同じご祭神で、天磐船(あまのいわふね)に乗って高天原(たかまがはら)から地上へ降り立った神様だ。飛行機には縁がある。ということで、大阪府交野市の磐船神社(いわふねじんじゃ)から分霊し、主祭神としている。
向かって右の第2殿は祖霊社。航空事故の犠牲者や航空業界に大きな影響を与えた人たちの霊を祀る。また、毎年4月29日の年次祭では、その年に亡くなられた御霊を合祀しているという。
一番左の第3殿は薬光神社。二宮は陸軍を退役したあと大日本製薬(現・住友ファーマ)に勤務しており、日本薬学の父と呼ばれる長井長義や、ともに働いた武田長兵衛、田辺五郎、塩野義三郎(しおのぎさぶろう)などの薬学界の仲間を祀っている。また、本殿創建時に姿を消した白蛇も、白龍神として合祀している。
■零戦の機首や貴重な歴史資料も
本殿の右には稲荷社があり、その前には民間航空機のプロペラと飛行機の機首部分が安置されている。実はこれ、1983年に大阪湾の岸和田市沖で底引き網によって引き揚げられたもので、「ゼロ戦」こと零式艦上戦闘機のもの。
戦後40年近くも海底に沈んでいたこともあって痛みは激しく、湾曲したプロペラが墜落時の衝撃を物語っている。
境内の奥は二宮忠八資料館だ。1989年の改装時に建てられ、館内には二宮本人が撮った当時の写真や自筆の飛行原理発見に関しての資料、晩年に作り残した「玉虫型飛行器」の模型のほか、航空業界初期の歴史資料が展示。
さらに、全国各地から寄贈された約1000機のプラモデルも陳列されているが、館内の撮影は禁止されている。境内の敷地は広いとはいえないものの、見どころの多い神社だ。
■足を伸ばし石清水八幡宮にも!
さて、冒頭に記したように、八幡市は石清水八幡宮のおひざ元だ。駅前にそびえる男山全体が境内で、国宝の御本社は山上に鎮座している。
男山の標高は143メートル。石清水八幡宮の駅前からケーブルカーに乗る方法もあるが、歩いて登れない高さでもない。脚に自信のある方は、ハイキング気分で参道をのぼるのもいい。
八幡市には石清水八幡宮や飛行機神社のほかにも、由緒のある寺社や観光スポットが随所に存在する。町は静かで観光客の姿も比較的少なく、散策にはうってつけだ。
■飛行神社の見どころ【全8枚】