『雲が描いた月明り』でパク・ボゴムが演じたヨン世子が多くの人を虜にした理由、それはヒロインの内官ラオンを女性と知らずに惹かれていく”ツンデレ世子”としての魅力はもちろんだが、それだけではない。

 親しい臣下や心を許す友、愛する者だけに見せる素顔、守るべき身内や貧しき民たちに見せる温かい慈しみの表情、王の後継者として寵臣たちに対しての威厳ある態度、王になるべくして生まれた者の重圧と孤独……と、世子には様々な側面がある。

『雲が描いた月明り』画像出典:KBS

 深みのある人物像に加えて、時代劇特有の身のこなしやセリフの言い回しなど、キャリアがまだ浅い若手俳優にとっては演技のハードルが高い世子役を、パク・ボゴムは生き生きと自然体で演じた。

 聡明ながら茶目っ気に溢れ、自由奔放だが、内面には強い信念を抱いている。気品ある凛とした佇まいに、屈託のない天使のような笑顔と親しみやすさを併せ持つ。そんな世子の魅力は、パク・ボゴム本人にも通じるものがあった。

 パク・ボゴム自身、かつてインタビューでヨン世子について、「表に出さなくても内には強さを秘めたキャラクターで、自分自身も同じように外柔内剛な面を持つ」と語っていた。パク・ボゴムには世子を魅力的に昇華する、天賦の才能があったと言える。

『雲が描いた月明り』画像出典:KBS

 ただビジュアルがいいだけでは務まらない。確かな演技力と人の目を惹くスター性、そして人間性が備わってこそ世子として愛され、そこから俳優として躍進していく。

『シュルプ』でソンナム大君を演じたムン・サンミンは、次回作のオファーが殺到しているという。『シュルプ』で見出された、この系譜を継ぐ新星スターたちの今後の活躍からも目が離せない。