こうして始まった王宮の歴史。それを題材にして現代でも時代劇がたくさん制作されているが、最近の傑作を挙げれば、それは間違いなく『赤い袖先』と『シュルプ』だ。「時代劇はここまで進化したのか」と感心するほど出来が良かった。
二つに共通しているのは、朝鮮王朝時代の王宮でロケを行なっていること。その場所というのが、昌徳宮の秘苑(ピウォン)である(昌徳宮の一番後ろにあるので後苑〔フウォン〕とも呼ばれている)。また、かつては傑作『宮廷女官 チャングムの誓い』でもロケ地として使われた。そういう意味で、ここは傑作時代劇と縁が深い場所なのだ。
秘苑は全体的に落ち着きがある庭園。その中心に芙蓉池(プヨンジ)があり、奥に宙合楼(チュハムヌ)という立派な楼閣がある。その佇まいは情緒があってとても素晴らしい。
この芙蓉池と宙合楼に囲まれた地域を『赤い袖先』では朝鮮王朝時代の女官が行き来していた。あるいは、『シュルプ』ではキム・ヘスが演じたファリョン王妃が強烈な個性を見せて歩いていた。
このように、秘苑は『赤い袖先』や『シュルプ』で朝鮮王朝時代の風情を象徴的に現代に伝える場所になった。ここに出かけたら、傑作時代劇を見た感激も甦ってくることだろう。