さらに重要な人物がいる。パク・ヨンジンの夫のハ・ドヨン(チョン・ソンイル)である。建設会社の社長で、囲碁を通してムン・ドンウンと知り合うようになった。もちろん、それもムン・ドンウンの作戦の一つだ。
しかもパク・ヨンジンとハ・ドヨンの娘には遺伝的な部分でチョン・ジェジュンと共通点があった。こうしてドラマはチョン・ジェジュンこそがパク・ヨンジンの娘の父親ではないかという疑いを提起していく。
以上の登場人物たちが『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』で複雑な人間模様を繰り広げていくが、ドラマを見ていて常に思っていたのは、「ムン・ドンウンが18年間も復讐心を持ち続けた原動力は何だったのか」ということだった。
なにしろ、一番執拗で妥協を許さなかったのはムン・ドンウン本人であったからだ。
視聴者目線での結論は「イジメによって心だけでなく身体にも癒せない傷が残ったから」であった。
高校時代にヘアアイロンを身体に当てられたムン・ドンウン。朝鮮王朝時代の拷問を思わせるようなイジメがあまりに凄惨であった。その痕跡を自分の肉体で見る度に、ムン・ドンウンは復讐心をたぎらせた。
その経緯には強い説得力があったし、緻密に組まれている脚本は秀逸だった。
実際、伏線が様々に織り込まれた物語は珠玉の人間ドラマになっていて、見ていて辛くても『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』を途中でやめることができなくなるのだ。