正直に言うと、イジメと暴力のシーンは苦手である。できるだけ見たくない。

 しかし、両方のシーンがたくさん出てくるのが『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』なのである。

 韓国ドラマはエロティックな場面以外は徹底して「省略しないこと」が真骨頂なのだが、『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』も復讐の前段階の描き方が半端ではない。それゆえ、当初は恐れをなしていた。それでも、あまりに話題作なので見なければいけないと思い直し、恐る恐る見始めると案の定だった。見るに堪えないイジメのシーンが冒頭から延々と続く。

 それでも、やめられなかった。人間の情念がスリリングに描かれていて登場人物の捉え方が見事だった。

■『ザ・グローリー』の主人公が18年間も復讐心を持ち続けた原動力とは?

『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』のストーリーを見てみよう。

 高校生のムン・ドンウンは同級生のワル5人組に徹底的にひどいイジメを受けてしまう。それから18年後、積もった怨みを晴らすために5人組への復讐を始めた。ソン・ヘギョが無表情に演じるムン・ドンウンが不気味な大人になっていた。

 高校時代の5人組は18年後も変わらずワルであった。ムン・ドンウンが一番の標的にしているのがパク・ヨンジン(イム・ジヨン)。彼女はテレビで人気を集める気象キャスターで、人も羨む裕福な生活を続けている。

 ムン・ドンウンは小学校の教師の資格を得て、パク・ヨンジンの娘の担任となる。ここまで用意周到に準備を重ねていて彼女の執念が凄まじい。

 他に標的にしている4人は……ゴルフ場のオーナーになっているチョン・ジェジュン(パク・ソンフン)、画家でクスリ中毒のイ・サラ(キム・ヒオラ)、航空会社に勤めるキャビンアテンダントのチェ・ヘジョン(チャ・ジュヨン)、チョン・ジェジュンの使い走りになっているソン・ミョンオ(キム・ゴヌ)である。

 この5人組への復讐も1人では無理と悟っているムン・ドンウンは協力者を得ていた。それがカン・ヒョンナム(ヨム・ヘラン)だ。彼女は夫からひどい暴力を受けている。このままでは自分も娘も殺されると覚悟したカン・ヒョンナムは、逆に夫の殺害を企ててムン・ドンウンに依頼する。その代わりに彼女はムン・ドンウンの復讐の手助けをしていくのである。

 ムン・ドンウンにはもう1人の協力者がいる。イ・ドヒョンが演じるチュ・ヨジョンだ。彼はソウルの有名な病院院長の息子。しかし、父が殺人犯を手術中に殺害されるという悲劇に遭っている。それゆえチュ・ヨジョンは心に深い傷を負っているのだが、彼は美容整形医師として開業して、囲碁を教えたムン・ドンウンの良き協力者となっていく。