韓国映画を代表するテーマ(ジャンル)というと、次の3つのジャンルが思い浮かぶ。

ラブストーリー」「ノワール」「南北分断」だ。

■韓国映画3大ジャンル「ラブストーリー」「ノワール」「南北分断」

 ラブストーリーは言うまでもないだろう。1990年代までは男と女の泥臭い物語が多かったが、この20年間は1990年代の香港映画『恋する惑星』のようなスタイリッシュな作品や、日本映画によくある軽快なラブストーリーも増え、多様化している。催涙系の傑作も多く、ハン・ソッキュシム・ウナ主演の『八月のクリスマス』やファン・ジョンミンチョン・ドヨン主演の『ユア・マイ・サンシャイン』などで涙をしぼった人も多いだろう。

 また、パク・ヘイルタン・ウェイ主演の『別れる決心』(パク・チャヌク監督)はミステリアスなラブストーリーの新機軸を打ち出し、2022年カンヌ映画祭監督賞を受賞した。

ラブストーリーの傑作は? と問われれば、多くの人が名前を挙げるであろう『八月のクリスマス』の撮影地全羅北道群山)には、今もファンが集まっている
群山の撮影地に展示されている『八月のクリスマス』のヒロイン、タリム(シム・ウナ/すでに引退)のパネル。シム・ウナが50歳になっていると知り、時の流れを感じずにはいられなかった

 ノワールは、主に犯罪映画を指す言葉だ。米国アカデミー賞に輝いた『パラサイト 半地下の家族』(ソン・ガンホ主演、ポン・ジュノ監督)は韓国のフイルムノワールが世界的に注目されるきっかけになった。また、2010年代まではチェ・ミンシク、ここ数年はマ・ドンソクがこのジャンルで裏社会の顔役を演じてギラッと光っている。

 南北分断は、我が国の痛ましいできごとだが、韓国映画界は他国の人が見たら驚くほどこのテーマを積極的に映画化している。