そして、最も重要であったキャスティングに話を移していこう。
イ・ジュノ(2PM)とイ・セヨンという主人公カップルの演技こそが、このドラマの真骨頂であったと断言できる。
まず、イ・サンに扮したジュノは、史実を頭に入れて名君の人物像を常にイメージして演じたという。こうして導かれた堂々たる表現力はとても高い評価を受け、彼は権威ある百想芸術大賞でも最優秀演技賞を獲得するほどの大成功を収めている。
また、子役時代から経験豊富なキャリアを持っているイ・セヨンは、女性が抑圧された時代に奔放な個性を見せる宮女ソン・ドギムを情緒深く演じきっていた。そうした俳優個人の資質が次々に訪れるヤマ場で見事に噛み合い、珠玉の名場面を作り出していた。間違いなく、主役2人の相性が申し分なかった、と言える。
さらに付け加えたいのが、英祖(ヨンジョ)を演じたイ・ドクファだ。この重鎮俳優の迫力はドラマをグイグイと引き締めて本当に見応えがあった。
韓国時代劇は韓国ドラマで中心軸に位置するジャンルであり、過去にたくさんの傑作が誕生している。そういう系譜に『赤い袖先』は順当に加わってくる作品であり、「史上最高」という評価が起こっても不思議はない時代劇である。
●作品情報
『赤い袖先』
[2021年/全17話]※テレビ東京放送は全27話
演出:チョン・ジイン、ソン・ヨナ 脚本:チョン・ヘリ
出演:ジュノ(2PM)、イ・セヨン、カン・フン、イ・ドクファ
DVD&Blu-ray販売元 : NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン