去る7月31日、ソウル・蚕室にあるロッテシネマ・ワールドタワーにて、この夏韓国でもっとも注目されている映画『コンクリート・ユートピア』(韓国公開8月9日/日本公開2024年1月5日)のプレス試写会およびアジアプレスカンファレンスが開かれた。韓国国内のマスコミ関係者はもとより、シンガポール・マレーシア・日本などアジア数か国のメディアが多数訪れ、関心の高さをうかがわせた。それもそのはず。キャストが、イ・ビョンホン、パク・ソジュンというワールドスターなのだ。
本作は、突然の大地震により一瞬にして廃墟となったソウルを舞台に、唯一崩壊しなかった皇宮アパートの住民たちと外部の人々の葛藤と生存をかけた壮絶な物語を描いたエンターテイメント大作だ。カン・ドンウォン主演の映画『隠された時間』を演出したオム・テファ監督が、韓国のウェブ漫画『愉快なイジメ』の2部『愉快な隣人』を脚色。OTTプラットフォーム、Netflixの韓国作品『地獄が呼んでいる』や『D.P. -脱走兵追跡官-』を制作したクライマックススタジオが大地震後のソウルをリアルに表現し、主演のイ・ビョンホンをはじめとする豪華キャストの熱演により、生死を分ける極限の状況に追い込まれた人々の群像をリアル、かつスリリングに映し出していく。
試写会後に行われたアジアプレスカンファレンスでは、オム・テファ監督、主演のイ・ビョンホン、パク・ソジュン、パク・ボヨンが海外メディアの前に姿を見せ、会見に臨んだ。その模様をレポート。
(取材撮影:イ・ジュニョン 取材:本間裕美)
■映画『コンクリート・ユートピア』オム・テファ監督、イ・ビョンホン、パク・ソジュン、パク・ボヨン現地会見レポート
――試写会後の会見だからか、一層緊張されているようですね(笑)
イ・ビョンホン「(会見は)いつもしていることですが、今日のような評価を受ける日は緊張してしまいますね(笑)」
パク・ソジュン「今回アジアプレスカンファレンスに参席するのは初めてなので、とても意味深いと思いますし、このように多くの関心を持っていただき、ありがとうございます。私もまた、皆さんが韓国の住居形態の中で最も普遍的なアパートで起こる物語をご覧になって、どのように感じられたのか気になりますし、心配でもあります(笑)。少し緊張しています」
パク・ボヨン「私もこのように(アジアプレスカンファレンスで)ご挨拶するのが初めてなのでとてもドキドキしています。映画を楽しんでいただければと思いますし、いい会見の場となれば幸いです」
――映画のスケールがとても大きくて驚きましたが、映画を制作されることになったきっかけを教えてください。
オム・テファ監督「韓国のウェブ漫画『愉快なイジメ』の2部にあたる『愉快な隣人』をとても面白く読んだことがきっかけで制作を始めました。その漫画の設定も映画と同じで、大地震で壊れなかった唯一のアパートに生存者たちが集まり始め、そのアパートにもともと住んでいた住民たちと葛藤を起こす物語です」
――イ・ビョンホンさんは作品に出るたびに新しいキャラクターを見せてくださるので、毎作、今回はどのような演技をされるんだろうと期待してしまいます。今回の作品に出演を決めたきっかけは何でしょうか?
イ・ビョンホン「何年もアクション映画が続いたり、また政治を扱った映画が人気を得るなど、どの国でも流行る映画というのがあると思いますが、久しぶりにこのような新しい素材やジャンルに接することができてとても嬉しかったし、物語を読んですぐに出演を決めるほど魅力を感じました」
――『コンクリート・ユートピア』を必ず映画館で観るべき理由は何だと思いますか?
パク・ソジュン「映画館で観なければならない理由は多いと思うんですが、まず映画館はとても涼しいし……それは冗談ですが(笑)。実際映画というものが、映画館という環境で見せることができるように作られるものだと思います。今日私も映画を観ましたが、映画館で感じられるサウンドによって映画に引き込まれました。家のTVで映画を観ると他のことを考えたりすることもありますが、映画館ではもっと集中できる環境が整っているので、この映画は映画館で見るに相応しい豊富なサウンドと観どころ、そして物語があると思います。ぜひ映画館でご覧いただければと思います」
――パク・ボヨンさんは今回ミョンファ役を演じられましたが、ご自身のキャラクターの第一印象はいかがでしたか?
パク・ボヨン「私は映画を観ながら、私ならミョンファのような選択をするだろうか?と考えたし、映画のような状況が発生したとき、ミョンファのような気持ちを最後まで持ち続けられるだろうか?そうできたらいいな、というふうに感じました」