テレビ東京の韓流プレミアで放送中の『赤い袖先』(日本編集版/全27話)。第21話を見ていた人は、ちょっと戸惑ったかもしれない。急に王妃という存在が出てきたからだ。
といっても、演じる女優が画面に出てきたわけではない。カン・フンが演じる側近ホン・ドンノの話の中に、王妃を非難する局面がたくさんあったのだ。(※以下、一部ネタバレあり)
■イ・サンの正室、孝懿王后と側近ホン・ドンノの関係は?
「あれっ、イ・サンは結婚していたワケ?」
そう思ってしまうのも無理はない。物語の展開上、ジュノ(2PM)が演じるイ・サンの妻(正室)はキャスティングされていないからだ。しかし、史実においてはとても重要な存在である。
そこで、イ・サンの妻と洪国栄(ホン・グギョン/『赤い袖先』ではホン・ドンノとなっている)の関係を見ていこう。
イ・サンの側近として絶大な権力を手にした洪国栄は、イ・サンの妻である孝懿(ヒョウィ)王后に子供がいなかったことに目をつけた。自分の妹をイ・サンの側室にして国王の子供を産ませようとしたのだ。
それが元嬪(ウォンビン)であった。しかし、元嬪は王宮に入ってきて1年ほどで亡くなってしまった。
すでに常軌を逸していた洪国栄は「王妃の指図によって妹は毒殺されたのでは……」という恐ろしい被害妄想を抱くようになった。
実際には、そんなことがありうるはずがなかった。孝懿王后はとても謙虚で温厚な性格として知られていた。朝鮮王朝には42人の王妃がいたが、孝懿王后はもっとも人徳があったと言われていた。「聖女」とも評価されるほどであった。それほどの女性が、側室の毒殺をたくらむわけがないのだ。
しかし、洪国栄は孝懿王后が妹を毒殺したと決めつけて、復讐をはかった。なんと、孝懿王后の食事に毒を盛ろうとしたのである。それが発覚して、洪国栄はイ・サンからの信頼を完全になくして失脚してしまった。