この歴史的な大事件が起こったのは1780年だ。それは、イ・サンが即位して4年後のことであった。

 そんな史実があっても、ドラマ『赤い袖先』では孝懿王后のことは取り上げられていない。イ・サンは10歳のときに9歳の彼女と結婚しているのだが、そのこともドラマでは描かれていなかった。それが、第21話の渦中で王妃の存在が明らかになった。

 ストーリーの中で、妹の死は王妃に殺されたからだとホン・ドンノが決めつけ、彼女が行った毒殺の証拠として偽りの毒物を中宮殿(王妃が住む宮殿)に仕掛けようとしたのである。そのために、医女や宮女が行方不明になってしまった、という展開になっていた。

 結局、ホン・ドンノの人生は妹の急死によって激変し、最後はイ・サンの温情によって死罪だけは免れることになった。命だけは助けられた、ということは史実と同様であった。

 このように、実際に起こった史実の背景を知っておくと、『赤い袖先』の後半の流れがわかりやすくなるだろう。

●作品情報

『赤い袖先』

[2021年/全17話]※TV放送は日本編集版の全27話

演出:チョン・ジイン、ソン・ヨナ 脚本:チョン・ヘリ

出演:ジュノ(2PM)、イ・セヨン、カン・フン、イ・ドクファ

DVD&Blu-ray販売元 ‏: ‎NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン