アン・ヒョソプ主演のNetflix注目作『いつかの君に』は、時空を超えて貫く愛をテーマにしたタイムスリップロマンスだ。

 1年前に事故で最愛の恋人ク・ヨンジュン(アン・ヒョソプ)を亡くしたハン・ジュニ(チョン・ヨビン)。ある日ジュニは、自分の元に送られてきたカセットプレーヤーから流れる音楽を聞きながら「ヨンジュンにもう一度会いたい」と願う。

 すると、ジュニは1998年にタイムスリップし、自分とそっくりの顔をしたクォン・ミンジュとして目覚める。さらに驚くことに、ヨンジュンと瓜二つのナム・シホンと出会う。

 タイムスリップの引き金となるソ・ジウォンの楽曲「涙を集めて」を含めて、じんわりと心に染みる名作だ。

■日本統治時代の近代建築が残る港町・群山、『いつかの君に』に登場する駅舎

 終盤でジュニは、シホンと駅前で待ち合わせ、列車に乗って海へ行く。ノクサンの駅舎として登場したのは、全羅北道・群山(クンサン)にある旧・臨陂(イムピ)駅。

 韓国南西部にある群山は、錦江(クムガン)の河口に位置し、日本統治時代に韓国最大の穀倉地帯である湖南(ホナム)平野で収穫した農作物を日本へ搬出する港として重要な役割を果たした。

 市の東部にある臨陂駅は、貨物運搬のため1924年に開業。現在残されている建物は、1936年に建て直された切妻屋根が特徴の日本式駅舎だ。廃駅となった現在でも、当時の佇まいがそのまま残されている。

旧・臨陂駅には旅客駅舎として賑わっていた当時の雰囲気が再現されている

 群山港のそばにかつての日本人居留地があり、碁盤の目のように道路が整備されている。その一角には、日本統治時代に建てられた銀行の建物を利用した近代建築館と近代美術館、旧・群山税関の建物を利用した湖南関税博物館など近代建築が残されており、内部を見学できる。

旧・群山税関本館の建物は、可愛らしい色合いからSNS映えするスポットとしても注目されている