また、1909年に日本の僧侶により創建された日本式寺院の東国寺(トングッサ)も現存している。運搬が困難な屋根瓦は韓国で製造されたが、その他の資材はすべて日本から運搬したものだという。

 東国寺から徒歩10分ほどの場所には広津家屋がある。米穀商として富を築いた広津吉三郎が建てた2階建ての日本式家屋だ。新興洞(シンフンドン)と呼ばれるこの一帯は、日本統治時代の富裕層が住む地域だった。

 その一方で、広津家屋の裏山の斜面には生活が苦しい労働者たちが集まるマルレンイ村が形成された。朝鮮戦争後にはここに避難民が集まり、1970年代には8千世帯あまりまで増えたという。しかし、2000年代に入ると、土地整備事業により大勢がこの地を去り、現在は70世帯ほどが生活している。

 近年、そんな失われつつある村に再び活気が戻り始めた。芸術家たちが壁画を描いたことで、細い路地歩きを楽しむ観光客が増えている。飲食店や宿泊施設もでき、週末には体験イベントが行われ大勢の観光客から注目されているという。

芸術家が壁画を描いたり体験イベントを行ったりすることで活気を取り戻したマルレンイ村

■港町・群山の有名グルメ、韓国5大チャンポンの店で味わう絶品チャンポン

 群山のグルメと言えば、西海岸で水揚げされるワタリガニを使ったカンジャンケジャンが有名だ。そしてもう一つ、「チャンポン特化通り」という専門店が集まる通りがあるほど、群山はチャンポンの街としても有名だ。

 韓国5大チャンポンの1つといわれる福城楼(プッソンヌ)を訪ねた。週末には店の前に長蛇の列ができるほどの人気店だ。

 港町だけあって、鮮度抜群の殻付きコウライエビ、イカ、アサリ、そして「これでもか!」というほど大量のムール貝に豚肉と具沢山のチャンポンだ。その海鮮の旨味と野菜の甘みが引き出されたスープの美味しさにも驚かされた。

韓国5大チャンポンの1つである福城楼のチャンポンは港町らしく海鮮がたっぷり入りっている

●群山へのアクセス

 ソウル高速バスターミナルから群山高速バスターミナルまで約2時間30分。