ドギムは宮女の見習いとして恵慶宮のもとに預けられた。当時、イ・サンは10歳であり、2人はこのときに顔を合わせた。イ・サンは賢くて性格が良かったドギムを心から愛するようになった。

 また、ドギムはイ・サンの2人の妹とも仲が良かった。1754年に生まれた清衍(チョンヨン)と1756年に誕生した清璿(チョンソン)である。ドギムは後にイ・サンの2人の妹と人気があった小説『郭張両門録』を筆写している。そのエピソードは『赤い袖先』にも登場していた。

 一方、イ・サンは1766年、14歳のときにドギムに対して「承恩」(国王や後継者が意中の女性と一夜を共にすること)を命じている。しかし、ソン・ドギムがその承恩を断ってしまった。理由は、イ・サンの妻(正室、後の孝懿〔ヒョウィ〕王后)を気遣ったからだ。

 ドギムは、同じ年齢で性格が清らかだったイ・サンの妻を心から慕っていて、まだ子供がいない彼女に申し訳ないと感じてイ・サンの求愛を断ったのであった。

 そのときは死を覚悟するほど思い詰めたという。そのドギムの心情に配慮して、イ・サンも事を荒立てなかった。それでも、ドギムに対するイ・サンの情愛は終生にわたって続いたのである。

●作品情報

『赤い袖先』

[2021年/全17話]※TV放送は日本編集版の全27話

演出:チョン・ジイン、ソン・ヨナ 脚本:チョン・ヘリ

出演:ジュノ(2PM)、イ・セヨン、カン・フンイ・ドクファ

DVD&Blu-ray販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン