時代劇の中でも特に宮廷ロマンスを抒情的に描いた『赤い袖先』では、ジュノ(2PM)が扮したイ・サンとイ・セヨンが演じたソン・ドギムの情感あふれる「愛の行方」が興味深く描かれていた。
そんな中で、世孫(セソン)時代の前半において強烈な存在感を放っていたのが、イ・ドクファが演じていた英祖(ヨンジョ)だった。
■『赤い袖先』で2PMジュノが演じたイ・サン、祖父との関係は実際はどうだったのか
『赤い袖先』で英祖は、孫に対して厳しく接する祖父であった。国王として次代を担う世孫に立派な後継者になってほしいから、私情を抑えて君主の威厳を示したのかもしれないが、「何もあそこまで」と思わないでもなかった。
実際、劇中で英祖はイ・サンに対して「世孫を廃する」と思わせる場面が何度もあった。その度に「イ・サンの他に誰が次の国王になれるというのか」と懐疑的にならざるをえなかった。
しかも、イ・ドクファの重厚すぎる演技はイ・サンをとことん苦しめるのに十分すぎるほどであり、ジュノも身につまされながら演じていたに違いない。
ただし、前半の最後になって英祖が心底からイ・サンのことを愛情たっぷりに擁護する場面もあり、そのときばかりは見ていて胸をなでおろすことができた。
このように『赤い袖先』で描かれた英祖とイ・サン。史実では、どのような関係であったのだろうか。
イ・サンの母である恵慶宮(ヘギョングン)が晩年に書いた随想集『ハンジュンノク』(漢字で書くと『閑中録』または『恨中録』)によると、イ・サンが1752年に生まれたときに英祖は、「この子の容姿はとてつもなく、凡俗を超えている。おそらく祖先の神霊の思(おぼ)し召しであろう。朝廷の願いが込められた子だ」と大絶賛したという。彼としても頼もしい孫が生まれて本当に嬉しかったのだろう。