史実に戻ると、洪麟漢が「世孫無用論」を述べた現場には世孫もいた。それなのに、洪麟漢は世孫の目の前で「王の後継者とは認めない」と言い切ったのだ。あまりに過激な発言だったと言わざるをえない。
その後も、英祖がイ・サンに代理聴政をさせる手続きをしようとしたときに、洪麟漢は分をわきまえないで邪魔をしている。それは、老論派の危機感の表れであった。イ・サンが即位したら、思悼世子(サドセジャ)を陥れた老論派が息子のイ・サンに復讐されるのが目に見えていた。それゆえ、洪麟漢はイ・サンの即位をなにがなんでも阻みたかったのだ。
しかし、英祖は国王を守る軍隊を世孫の配下に置くという強硬手段でイ・サンを守り抜いた。その結果として、イ・サンが無事に即位できたのである。
彼は国王になった途端に、洪麟漢を粛清している。ただし、洪麟漢が母の叔父であることを考慮して露骨に処刑するのは控えた。とりあえず地方に流罪にしたうえで後に死罪に処した。
こうした史実を振り返りながら『赤い袖先』を見ていると、このドラマが歴史を重厚に描いていることがよくわかってくる。
●作品情報
『赤い袖先』
[2021年/全17話]※TV放送は日本編集版の全27話
演出:チョン・ジイン、ソン・ヨナ 脚本:チョン・ヘリ
出演:ジュノ(2PM)、イ・セヨン、カン・フン、イ・ドクファ
DVD&Blu-ray販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン