ただし、出産した女性の処刑は「100日」の猶予があった。なぜ「100日」かというと、産まれた子供に乳をあげる時間だけ待ってくれたのだ。

 それでも、母親の処刑は免れなかった。しかも、生まれた子供は奴婢にされてしまった。そんな過酷な最期を課されたのが『赤い袖先』の終盤に描かれたヨンヒの生き方であった。4人の中で一番目立たなかった彼女が、最後になって強烈な運命にさいなまれたのだ。

 その他にも、『赤い袖先』では老いた宮女が理不尽な扱いを受ける場面もあった。実際、病気や年齢によって働けなくなった宮女は何の保障も受けられずに王宮から出されてしまうことが多かった。宮女のそういう不安定な身分も『赤い袖先』はリアルに描いていた。

 イ・サンとソン・ドギムの華やかなロマンスと同時に進行していた宮女たちの生々しい生き方。

 それを実録のように見せてくれた『赤い袖先』は、見れば見るほど新たな感慨が湧き上がってくるドラマだ。

●作品情報

『赤い袖先』

[2021年/全17話]※TV放送は日本編集版の全27話

演出:チョン・ジイン、ソン・ヨナ 脚本:チョン・ヘリ

出演:ジュノ(2PM)、イ・セヨン、カン・フンイ・ドクファ

DVD&Blu-ray販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン