ファン・ジョンミン&チョン・ウソン主演映画『ソウルの春』が、韓国での公開から1カ月ちょっとで観客動員1000万人を突破し、日本でも2024年の公開が決まった。
今回は、本作でファン・ジョンミン扮するチョン・ドゥファン(役名チョン・ドゥグァン)のクーデターを阻止しようとするチャン・テワン(役名イ・テシン)首都警備司令官を演じたチョン・ウソンのおすすめ主演映画とその演技の見どころについて紹介する。
チョン・ウソンは1990年代後半の青春スターだ。当時の美男俳優の多くが過去の存在になりつつある今も色あせない稀有な役者である。最近では日本のドラマをリメイクした韓国版『愛していると言ってくれ』(ディズニープラス スター配信中)に主演して話題を集めている。
けっして裕福とはいえない家庭で育ち、商業高校中退の苦労人。そのせいか、社会問題に対する意識が高い。『ソウルの春』のプロモーションで、シニアなどが苦手とするタッチパネルでのチケット購入方法を丁寧にアドバイスしたのは、じつに彼らしいふるまいだった。
■日本で公開された韓国映画、歴代2位の興収を記録!『私の頭の中の消しゴム』(イ・ジェハン監督/2004年)
『シュリ』や『JSA』などの韓国映画が日本で公開され、『冬のソナタ』や『宮廷女官チャングムの誓い』が大ヒットしたのが2000年代前半なので、韓流の風が吹き始めたばかりの日本で30億円もの興収をあげたのは快挙といっていい。この記録は2020年に日本で公開された『パラサイト 半地下の家族』に抜かれるまでは歴代1位だった。
『私の頭の中の消しゴム』でチョン・ウソンが演じたのは、若年性アルツハイマーの女性(ソン・イェジン)の恋人役。口数は少ないが行動力がある彼は、彼女のすべてを受け入れようとする。郊外に建てた住まいには、彼女が失っていく記憶をつなぎとめるためのポストイットがあちこちに貼られていた。そんな献身的な姿が、韓日の女性のハートをつかんだのだ。
また、知り合ったばかりの二人が屋台でソジュを飲みながら口づけを交わす場面は、韓国映画史に残るキスシーンといえる。
■ソン・ガンホ、イ・ビョンホン共演、660万人以上を動員した『グッド・バッド・ウィアード』(2008年/キム・ジウン監督)
タイトルの原題を日本語訳すれば、「いい奴、悪い奴、変な奴」で、チョン・ウソンは「いい奴」に扮した。イ・ビョンホン扮する「悪い奴」とソン・ガンホ扮する「変な奴」に挟まれたため、チョン・ウソンがのびのびと善玉美男を演じた作品だ。
舞台は日本植民地時代の満州原野。宝の地図をめぐって、日本軍、馬賊、いい奴、悪い奴、変な奴が列車や馬、オートバイで争奪戦を繰り広げる。馬を操りながら華麗なライフルさばきを見せるチョン・ウソンの雄姿をただひたすら愛でていたい作品だ。
ラストシーン。お宝の前で、いい奴、悪い奴、変な奴は再会する。今では同じスクリーンに映ることが想像しにくい三人だ。最後に原野で笑って立っているのは誰だろう。