ソウル・清凉里駅からITXセマウル号に乗り2時間足らず、韓屋造りの駅舎が魅力的な寧越(ヨンウォル)駅に到着した。韓国北東部・江原特別自治道にある寧越は、人口3万7千人あまりの山間にある郡だ。
9年前に初めて訪れたときには駅前は閑散としていたが、現在はコンビニが3軒もあり、何軒もの食堂が並んでいる。駅舎の背後には高層マンション群が建ち、都市開発の波が地方にまで及んでいることに驚かされた。
■『愛の不時着』パラグライダーシーンのロケ地、江原特別自治道・寧越
山間部を流れる南漢江が、寧越の中央部で東江と西江に分岐する。その川沿いには朝鮮半島の形に似た「韓半島地形」や絶壁から突き出るように立つ「仙石(ソントル)」と呼ばれる岩など、風光明媚な景勝地がある。また、山間の澄んだ空気と星空の美しさにも定評がある。
寧越の自然の美しさは、『愛の不時着』にも登場する。ドラマの序盤で、ユン・セリ(ソン・イェジン)がフライトスーツの耐久テストをするために、パラグライダーで飛行するシーンだ。
連なる山を見下ろし、緑の森と野原を眺めながら、セリはその風景の美しさに、しばし日常を忘れ心癒される。
それほどまでに、寧越の自然美は人の心を落ち着かせる力があるのだ。劇中ではその後、セリが突風に巻き込まれ、不運にも北に不時着してしまうのだが……。
寧越には、先に挙げた景勝地以外にも、朝鮮王朝第6代王・端宗(タンジョン)が流刑された「清冷浦(チョンリョンポ)」や同王が埋葬された「荘陵(チャンヌン)」、『愛の不時着』のパラグライダーシーンの撮影が行われた蓬来山(ポンネサン)にある「ピョルマロ天文台」など、数多くの見どころが点在している。