ドラマよりさかのぼって、映画デビュー作は、初の連続ドラマ『サムシクおじさん』出演で話題のソン・ガンホ主演作『殺人の追憶』(2003年)なのだが、彼女は当時20代後半なのに中学生の母親を演じていた。筋金入りの老け役である。

 以降、彼女は30作以上の映画に出演しているが、下記2作は特におすすめだ。動画配信サービスなどで視聴できる。

●『ガール・コップス』(2019年)

 警官役のラ・ミランイ・ソンギョンを監督する、厳しいが人情味のある上長に扮した。二人の勤務態度に目を光らせるコミカルな表情の演技には笑ってしまった。ひっつめ髪と警官の制服も大変よく似合っていた。

●『アイ・キャン・スピーク』(2017年)

 暗い過去をもつ主人公(ナ・ムニ)の心の支えとなる食料雑貨店(シュポ)の女将役。夜、シュポの縁台でナ・ムニとイ・ジェフンと三人並んでマッコリを飲みながら話すシーンは、韓国庶民の生活感を伝える名場面であり、映画『ワンドゥギ』でキム・ユンソクとパク・ヒョジュがマッコリを飲むシーンと並ぶ、シュポの名場面だ。

シュポは韓国庶民の生活感を伝える場所として映画やドラマによく登場する

ソウルの春』のファン・ジョンミン。『ムービング』のリュ・スンリョン。『私たちのブルース』のイ・ビョンホンチャ・スンウォンイ・ジョンウン。『シュルプ』のキム・ヘス。『マイ・スイート・ハニー』のユ・ヘジン。『ジャスティス』のチョン・ジェヨン……当たり年と言われる1970年生まれの名俳優たち。

 ヨム・ヘランはそんな彼らより6歳も若い上に、生活感のある母親役は我が国では需要があるだけに、今後の活躍が楽しみだ。