映画『守護教師』(Netflix他で配信中)を観ようと思ったのは、『トンネ サラムドゥル』というタイトル(韓国原題)に惹かれたからだ。日本語に訳せば、「町内の人たち」「ご近所さんたち」、そんなニュアンスだろう。

 ほのぼのした下町人情劇を想像させるタイトルだが、そうは問屋が卸さなかった。女子高校生が行方不明になる事件をきっかけに町ぐるみの犯罪が明らかになるという怖い話である。

 そこに救世主として登場するのが、我らがマ・ドンソクだ。

 チョン・ユミの夫を演じた『新感染 ファイナル・エクスプレス』以来、すっかりマッチョキャラが定着。

 タフな刑事やヤクザの印象が強い彼だが、本作では田舎の女子高校に赴任してきた体育教師を演じている。しかも、たんなる怪力無双ではなく、見かけによらず腰の低い男に扮していて、かわいいマブリーが堪能できる。

韓国ドラマ韓国映画に出てくる「田舎アイテム」とは?

 我が国のドラマや映画では、舞台が鄙びていることを短時間で視聴者に理解させるための「田舎アイテム」とでも呼ぶべき視覚効果がある。

『守護教師』の冒頭に出てきた美容室もそのひとつだ。

 キム・スヒョンキム・ジウォン主演の『涙の女王』、チョン・ドヨンソン・ガンホ主演の『シークレット・サンシャイン』、パク・チュンフン主演の『ラジオスター』、カン・ドンウォンの映画デビュー作『彼女を信じないでください』など、田舎を舞台にした多くの作品に、頭にカーラーを着けた中高年女性が姦しくおしゃべりする場面が出てくる。

『涙の女王』には田舎アイテムとして瓦葺きのシュポ(雑貨店)が登場。写真は木浦で見かけた日本家屋のシュポ