Netflix話題作『Missナイト&Missデイ』は、ファンタジーとラブコメディ、サスペンス、さらには地方都市のおおらかな人間模様まで描かれる重層的なドラマだ。

 最後の人間模様に着目すれば、冷徹で仕事に厳格なエリート検事ケ・ジウン(チェ・ジニョク)の心をほぐすために、イ・ミジン(チョン・ウンジ)やイム・スン(イ・ジョンウン)、ミジンの両親(チョン・ソギョンチョン・ヨンジュ)など、地方都市に暮らす登場人物が奮闘する物語といえる。

 いや、人だけでなく、田舎のあらやる風物もそのために機能しているかのようだ。

■地方都市が舞台の『Missナイト & Missデイ』、トラクターの荷台で運ばれるエリート検事(チェ・ジニョク)にギャップ萌え

『Missナイト & Missデイ』の舞台は慶尚北道の都市という設定だ。ヒロイン一家は市の中心部から少し離れた町に暮らしている。

 そんな田舎アイテムのひとつとして、第4話にはトラクターが登場した。

 農道から脱輪してしまったクルマを後ろから押したとき、泥をかぶってしまったジウン検事とミジンを荷台に乗せ、ミジンの両親がトラクターで家に連れて帰るシーンだ。

 なにごとにも無駄や夾雑物を許さないジウン検事が、トラクターの荷台で釈然としない顔で運ばれていく姿は、なんとも可愛らしかった。ギャップ萌えとはこういうことを言うのだろうか。

 田舎を舞台にしたドラマや映画では、韓屋シュポや縁台、マッコリ同様、トラクターも鄙びたムードを演出する重要なアイテムだ。

 最近のドラマでは、大ヒット作『涙の女王』第1話の後半、キム・スヒョン扮する主人公ヒョヌの故郷が初めて登場したとき、ヒョヌの母(ファン・ヨンヒ)が父(チョン・ベス)をトラクターの荷台に乗せて走るシーンがあった。ちなみに、故郷は忠清南道にある村という設定だった。

 また、『涙の女王』で悪女モ・スリに扮したイ・ミスク(1960年生まれ)が初々しい20代前半のときに出演した名作映画『鯨とり コレサニャン』でも、野宿者(アン・ソンギ)と大学生(キム・スチョル)と娼婦(イ・ミスク)が、農夫の運転するトラクターの荷台に乗って雪積もる農道を走るシーンがあった。