路線バスがあるのは水安堡温泉までだった。ここから先はタクシーしかない。道端で停まっていたタクシーに乗って15分。車は別荘地を抜け、林道の途中で停まった。ここまでだという。車をおりると、目の前にチェーンを張った車止めがあった。

 古道歩きがはじまった。古道といっても、山のなかの登山路のような道とは違った。車が通行できほどの道幅がある舗装路だった。舗装といってもアスファルトではなく、土色の素材を固めたような道だった。ハイキングを意識しているようにも見えるが、整備された林道のようにも映る。途中にいくつかのベンチも置かれていた。

 しかし傾斜はきつかった。山の斜面を一気に登っている感じだ。しだいに息も荒くなってくる。

 その道を20分ほど登った。

 前方に楼閣のような門が見えてきた。

古道を少し登ると、韓国の時代劇にでてくるような楼閣が 写真:金光英実