例えばミン・ジェイ(チョン・ソニ)のことも立派な人格を持った女性として認めて、彼女の気持ちを最大限に尊重していた。ミン・ジェイが一家毒殺事件の犯人と目されたときにも、彼女の切実な訴えを受け入れて汚名を晴らす機会をしっかり与えていた。

 ただし、ミン・ジェイが「恋慕している人がいます」と告白しているのに、それが誰だかわからない鈍感さも持っていた。もちろん、ミン・ジェイが恋慕しているのはイ・ファンに違いないのだが、彼女の羨望の視線を受けながらイ・ファンは「自分のことだ」と気づかない。

 そういう点で、『青春ウォルダム』はイ・ファンを完璧な世子としては描かない。むしろ、抜け目があるように見せている。そこがまた、いかにも人間的すぎる一面であった。

 イ・ファンは人格者であり、朝鮮王朝という身分制度の厳しい世の中で保守的な考え方に凝り固まっていない。むしろ、現代のような進歩的な思想を持っているところが、イ・ファンの最大の魅力だ。そういうキャラをパク・ヒョンシクが率直で凛々しい感性で演じていた。

●作品情報

『青春ウォルダム~運命を乗り越えて~』

[2023年/全20話]演出:イ・ジョンジェ『100日の郎君様』、キム・ジョンウク 脚本:チョン・ヒョンジョン『都会の男女の恋愛法』『ロマンスは別冊付録

出演:パク・ヒョンシク『ドクタースランプ』『力の強い女 ト・ボンスン』『ハピネス -守りたいもの-』、チョン・ソニ『花様年華~君といた季節~』『ボーイフレンド』、ピョ・イェジン『復讐代行人〜模範タクシー〜』シリーズ、『昼に昇る月』、ユン・ジョンソク王になった男』『砂の上にも花は咲く』、イ・テソン『愛はビューティフル、人生はワンダフル』、ホ・ウォンソ

(C) STUDIO DRAGON CORPORATION