Netflixで人気急上昇中のドラマ『Missナイト&Missデイ』は、地方都市を舞台に、ひょんなことから20代と50代を夜と昼で行ったり来たりすることになってしまった女性の物語だ。

 サスペンスの要素もあるが、主演がイ・ジョンウンチョン・ウンジ(A pink)だけに、ところどころにコミカルかつシニカルなセリフが多くニヤリとさせられる。

 今回は筆者の複数の日本の知人から、「あの人、いったいどういうつもりなの?」と聞かれたシーンについて解説しよう。

■『Missナイト & Missデイ』でヒロインが言われた一言、「オレを誰だと思ってんだ!」

『Missナイト & Missデイ』第7話。夜道、ひとりごとを言いながら、ミジンがとぼとぼ歩いている。

 自身の境遇を憂いて捨て鉢になり、歩道に落ちていた空き缶を蹴とばすと、前を歩いていた30歳前後の男性の後頭部に命中してしまう。振り返った男性は顔が真っ赤。酩酊しているようだ。

 気づかれぬよう後ろから見守っていた検事のジウン(チェ・ジニョク)がミジンの代わりに謝罪するが、男性はそれに食ってかかる。

「オレの頭はゴミ箱か? オレを誰だと思ってんだ! あそこのソハン警察署で公益勤務(兵役に代わる社会奉仕活動)していたとき、所長とメシも食ったし、卓球もやったし、何でもやったんだ!」(筆者訳)

「何でもやったんだ」は直訳だが、それほど親しく深い付き合いだと言いたいのだ。警察署長と深い仲である(たいてい事実と違う)ことをアピールするなど、自ら権力に弱いことを吐露しているようなもの。ジウンから渡された名刺に「検事」の文字を見つけた途端、男性はすごすごと引き下がる。

「オレを誰だと思ってんだ!(ナ ヌグンジュル アラ)」

 日本の知人は、こんなセリフを他のドラマや映画でも聞いたことがあると言っていた。

 韓国人にとっては、失笑もののセリフなのだが、すぐに2、3の作品名を挙げられるほどよく聞く言葉だ。ドラマや映画だけでなく、現実でも聞くことがある。たいてい酔っ払いから、それも悪酔いした人から発せられる。そして、このセリフが出たらケンカが始まると思って間違いない。

『Missナイト & Missデイ』のロケ地清州サムギョプサル横丁がホットスポットのひとつ