日本のNetflix人気ドラマランキングでも連日トップ10に入っている、今旬の話題作『Missナイト&Missデイ』。
本作は、20代と50代を夜と昼で行ったり来たりすることになってしまった女性が主人公のファンタジーロマンスだ。サスペンスの要素もあるが、20代ヒロインのイ・ミジンをチョン・ウンジ(Apink)が演じ、50代ヒロインのイム・スンを演じるのが演技派のイ・ジョンウンだけに、コミカルなセリフや社会風刺的なセリフにハッとさせられることがある。今回はそんな場面にフォーカスしてみよう。(一部、ネタバレを含みます)
■『Missナイト & Missデイ』で職場での飲み会に異を唱えた50代ヒロイン、周囲の反応は?
『Missナイト & Missデイ』7話。イム・スン(イ・ジョンウン)の職場の上長(キム・グァンシク)がスタッフたちに、「明日は会食を催すので、全員出席するように」と告げている。
「もういい年なんだから、言いたいことを言ってしまえ!」という心の中のイ・ミジン(チョン・ウンジ/Apink)の声もあり、思い切って異を唱えるイム・スン。その姿に溜飲を下げた韓国人、いや、日本人も多かったのではないだろうか。
イム・スンの言い分をまとめると、次のようになる。
・夜の会食には残業手当が付くわけでもないのに、なぜいつも退勤後に行うのか? 夜だと困るスタッフもいるはずだ。
・会食で好きな料理が食べられるわけでもない上、上司に気をつかいながら食べるのは消化によくない
・焼肉は服に匂いが着くので、レストランがいい
・会食が早く終わるならともかく、上司の同じような話を聞かされながら2次回、3次回までつき合って、午前様になってしまう。
・翌日は二日酔いで、せっかくの土日が台無しになる。
周囲の人たちが凍り付くなか、最後は次のような言葉で締めている。
「そんなの私は嫌です。いえ、嫌かもしれません」
イム・スンが嫌かもしれないと言い直しているように、我が国の会食問題はデリケートな話題だ。ちょっとした社会問題と言ってもいい。
朝鮮王朝時代にすでに確立され、長きに渡る軍事独裁政権で強化され、半ば常識になってしまったトップダウン方式。上が「カラスは白い」と言えば下も雷同するような空気のなかで、会食は上長にとって都合のよい「団結」のために利用されてきた。反論できない部下、とくに女性が会食でストレスを受けるのは、古くからの男尊女卑の気風も無縁ではない。