ソジュは酔うための酒の代表だったが、最近は味わう酒になったのだろうか。2000年前後と比べるとアルコール度数が5度ほど減り、口当たりは多少まろやかになったものの基本的な味や香りは変わらない。いや、そもそも日本の甲類焼酎とほぼ同じ製造方法の希釈式焼酎に味や香りなどないという日本人の言葉もよく聞いた。
2000年頃、韓国に来る日本の旅行者でソジュを飲む人は稀だった。日本では焼酎は氷や炭酸、清涼飲料水などで割って飲むもの認識されていたからだ。筆者は日本から韓国に来る旅行者と飲む機会が多いが、ソジュをストレートで飲む人は10人に2人くらいで、ビールやマッコリを飲む人が圧倒的に多い。
2020年、パク・ソジュン主演作『梨泰院クラス』が日本でも大ヒットし、ソジュに対する関心が高まり、日本全国のコンビニやスーパーに常備されるようになったのは大きな変化だ。筆者は、日本ではフルーツフレーバーのソジュだけが受け入れられると思っていたが、プレーンのソジュは今も健在だという。
『家いっぱいの愛』のムジンの幸せそうな表情からもわかるように、ソジュは今も韓国の“国民酒”だ。高級ウイスキーのような風味はないが、よく冷えたソジュはノドを通ったあとに鼻腔を満たすアルコールの刺激が心地よい。辛くて脂っこい食べものにも合う。
酒の魅力は風味だけではない。ソジュのアッパーな酔い心地と何度も繰り返される乾杯が酒席を盛り上げる。それも含め、我が国の誇るべき文化だと思う。