モニターを見ていた知人がいった。
「アメリカンのアイスコーヒーが2400ウォンですね。やはりここも高いですね」
「安い店で買って、ここで飲むこともできちゃうような気になるよね。誰もいないんだから……」
「そう。でもあれがね」
知人は壁にとりつけられている何台もの監視カメラを見あげた。
そうなのだ。無人帽子店と同じように監視カメラが露骨にとりつけてある。「いつも監視・記録していますよ」と主張しているようにも映る。その存在に気づくと、急に鼻白んでしまう。
路上のテイクアウト専門店にも監視カメラがとりつけられているのかもしれない。しかしそこでコーヒーを頼むとき、監視カメラがあることを忘れている。人がいる店は、監視カメラの存在感が薄いのだ。しかし無人店は違う。無人だからいたし方ないかとは思うが、このカメラ群のなかではどうしても萎縮してしまう。
コーヒーマシンがつくるコーヒーはどんな味なのか……好奇心もあり、飲んでみることにした。アイスコーヒーをふたつ頼み、マシンの右側にあるカード挿入口に僕のクレジットカードを入れてみた。
……ん?
反応がない。しばらくするとカードが戻ってきてしまった。なぜだろうか。もう1回、カードを挿入してみた。同じだった。
無人店には人がいない。当然、現金払いはできない。そこでカードを受けつけてくれないとコーヒーを買うことができないのだ。
なぜカードを受けつけないのか、訊く人もいない。メールや電話で問い合わせるしかないのだろう。
知人のカードを入れてみた。問題なく機械は受けつけ、コップがコロンと出てくると、そこに氷が入り、コーヒーが注がれた。
無人店で僕は韓国でのクレジットカード問題に再び出合ってしまっていた。(つづく)