昨年11月の名古屋に続き、先日、東京に出張した。日本では久しぶりに納豆でごはんを食べたかったのだが、機を逸してしまった。

 納豆未練の気持ちで韓国に帰ると、個性派人気俳優ソン・ソックが、新作主演ドラマ『ナインパズル』(ディズニープラスにて2025年独占配信予定、主演キム・ダミ)の会見インタビューのなかで、納豆について熱く語っているのをSNSで見てしまった。

 それは、ソン・ソックが納豆好きで、日本に行ったら各地の納豆を食べ歩いてみたいという内容だった。

■人気俳優ソン・ソックも好きだという日本の納豆、韓国では健康料理として定着

 韓国人旅行者が日本各地の日本酒を飲み歩きたいとかラーメンを食べ歩きたいというならわかるが、ソン・ソックが日本で納豆紀行をしてみたいとは意外である。

 まあ、ここ数年の日本旅行ブームで韓国人が納豆を食べる機会が増え、その美味しさに目覚めた人も少なくない。ソン・ソックもその一人なのだろう。

 日本人に苦手な韓国の食べ物があるように、韓国人にも苦手な日本の食べ物がある。ある時期まで納豆もそのひとつだったはずだが、時代は変わったのだ。

日本旅館の朝食に納豆はつきものだが、韓国人の反応は?

 ソウル釜山など、都市部ならスーパーで“日本式”納豆は買える。しかし、韓国人は美味しいから食べていると言うより身体にいいから食べているようだ。今も納豆は、匂いはともかく、糸を引く粘りけが気持ち悪いという韓国人は少なくない。

 20年前に日本の納豆に目覚めた筆者に言わせれば、韓国産の日本式納豆は旨味も、そして臭みも本場と比べると物足りない。ちなみに、納豆に刻みネギと和芥子を加えて混ぜて食べると美味しいことは、日本映画『男はつらいよ』の寅さんのセリフで知った。

 日本式納豆と書いたのは、韓国にも納豆に煮た食べ物があるからだ。

チョングッチャン(清麹醤)」である。蒸した大豆に枯草菌(こそうきん)を加えて発酵させたもので、一人用のチゲ(鍋)として食べることが多い。

 グツグツ煮るので、匂いは納豆より強く感じられるかもしれないが、納豆を食べ慣れている日本の人に抵抗は少ないだろう。納豆とはまた違った風味で、ごはんが進むと言う日本の知人も多い。