韓国の焼肉には「上」とか「特上」というメニュー表示がない。日本では上ものになるほどきれいにサシ(上質な脂身)が入っていて、とろけるようにやわらかいが、韓国人は「噛み応えも味のうち」ととらえるので、日本人ほどサシの入った牛肉を歓迎しなかった。
しかし、日本の霜降り至上主義の影響を受けたのか、ここ十数年は韓国でもサシの入った牛肉をありがたがるようになった。一方、健康志向から赤身肉が見直されるようになったのは日本と同じだ。
20年ほど前は、やわらかい霜降り肉が安く食べられると期待して韓国にやってきた日本の人ががっかりするのをよく見たが、今はそのときほど韓日の差はなくなっただろう。
■自分が食べる分の肉を自分で焼く松重豊、寂しそうなソン・シギョン
『隣の国のグルメイト』の二人のやりとりで可笑しかったのは、自分の肉を自分で焼いて自分で食べる松重豊を、ソン・シギョンが寂しそうに見ているところだった。
日本人と韓国人の会食あるあるなのだが、韓国人は食を分かち合おうとする意識が強い。日本に鍋奉行がいるように韓国には肉奉行がいて、肉を焼き、切り分け、なんなら薬味をつけ葉野菜で包んで渡してくれる人もいる。
個人主義が発達していて、誰か一人に負担がかかるくらいなら、自分のことは自分でやるほうがよいと考える日本人と韓国人の違いである。
●配信情報
Netflix『隣の国のグルメイト』独占配信中(毎週木曜日配信)
出演:松重豊、ソン・シギョン