IUパク・ボゴム主演のNetflix人気ドラマ『おつかれさま』は、済州出身の家族の物語だ。日本の人の多くが済州=風光明媚なリゾートというイメージをもっていると思うが、それだけでなく、劇中の風景や人間関係を見ると本土とはまた違った独特の文化があることに気づくだろう。

 今回は、済州で生まれ育った女性の多くが経験している海女の仕事にフォーカスしてみよう。

■Netflix『おつかれさま』の舞台、済州は女性が働き者で生活力が強い

『おつかれさま』の主人公エスン(IU)の母、グァンネ(ヨム・ヘラン)を見ればわかるように、済州女性はよく働き、生活力がある。その背景には済州の厳しい自然環境がある。火山灰性の土壌は稲作には不向きで畑作が中心だ。畑作は雑草取りなど男性と比べ力仕事に不向きな女性でもできる仕事が多い。済州の夏の産物である粟(アワ)の栽培も女性が行うことが多い。

「三多(風が多く、石が多く、女が多い)」という言葉があるように、済州は風が強く、たびたび台風に襲われる。また、水をよく通す土壌ゆえ昔から水不足に悩まされてきた。

 劣悪な自然環境のなかで、女性は男性と同じように、ときには男性以上に働かなければならなかったのだ。

済州南西部の海辺で出会った海女
海藻の採取も大事な仕事