Netflix新作『隠し味にはロマンス』は、大手食品企業のCEOの座を兄と争うハン・ボム(カン・ハヌル)が、出張先の全州で丹精込めた料理を作るシェフのモ・ヨンジュ(コ・ミンシ)と出逢い、彼女のレシピを買い取ろうと画策する話だ。
■カン・ハヌル&コ・ミンシ主演『隠し味にはロマンス』のテーマは大企業論理vs丹精、そしてラブロマンス!?
ヒット作『椿の花咲く頃』の純粋な警察官役をはじめ、ドラマや映画では好青年を演じることの多いカン・ハヌルは、本作では札びらで人の頬を叩くこともいとわない大企業論理の申し子を演じている。
ヒロイン役のコ・ミンシは、『誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる』で百想芸術大賞の女性最優秀演技賞にノミネートされるなど、期待の若手女優。本作では、映画『密輸1970』での気丈な喫茶店ママ役や『The Witch 魔女』での天真爛漫な女子高校生役など、これまでの役とは違った、庶民的だがノーブルな女性シェフを演じている。

『隠し味にはロマンス』序盤を見て思い出したのは、『ジャガイモ研究所』でソウルから田舎に赴任してきたベクホ(カン・テオ)と、それを迎えるミギョン(イ・ソンピン)の対立。『涙の女王』の財閥のヘイン(キム・ジウォン)一家と、田舎のヒョヌ(キム・スヒョン)一家の対比。『私たちのブルース』のソウルから都落ちした銀行員ハンス(チャ・スンウォン)と地元の済州で商売に成功したウニ(イ・ジョンウン)の対比だ。
首都ソウルと地方の経済格差。SPEC競争に疲弊気味の都会人と、貧しくとも人間らしく生きる地方人……。
今の韓国ではこうした図式はドラマや映画のかっこうの題材になるようだ。現実にはどうにもならない田舎と都会の関係をひっくり返し、視聴者にカタルシスを与えるのだろう。
今後、ビジネスvs丹精が対立する二人がどう折り合いをつけ、それがどうロマンスに発展していくかが見どころとなるだろう。
