Netflix隣の国のグルメイト』13話、人気バラード歌手のソン・シギョンは、ソウル江南エリアのホルモン焼き専門店に松重豊を案成した。その店は韓牛(国産牛)の内臓肉を焼いて食べる店で、これまでのホルモンに対するイメージを変える高級店だった。

■『隣の国のグルメイト』13話のホルモン焼き編、ソン・シギョンが選んだ店はなかなかの高級店

 日本に「正肉」と「ホルモン」というざっくりとした分類があるように、韓国にもカルビやトゥンシム(ロース)をはじめとする肉と、大まかにコプチャン(小腸)と総称される内臓肉という分類がある。

 韓国ではそもそも焼肉という言葉が表す範囲や店の業態が日本とは違う。日本では、ひとつの焼肉店にカルビ、ロース、タン塩、ハラミ、レバー、ミノ、ホルモン(小腸)など多彩なメニューがあるが、韓国では牛カルビの店、サムギョプサルの店、コプチャンの店など細分化されている。

 ソンと松重が行った「ウジョン・ヤンコプチャン」は内臓の店だが、豚ではなく牛の専門店だ。ヤンはミノ、コプチャンは小腸を指す。

『隣の国のグルメイト』13話を見ると、コプチャン=牛の内臓というイメージが固定化されてしまうかもしれないが、韓国でもっとも多く食べられているのが牛カルビではなくサムギョプサル、つまり豚肉であるように、コプチャンと言ったら廉価な豚の内臓を思い出す人が多い。

「ホルモンだから、煙もうもうの店を想像したけど、全然違うね」という松重のイメージが、本来の韓国のコプチャン像を言い当てているのだ。

 牛の内臓肉がもてはやされるようになったのは、ここ十数年、テレビやネットでモッパン(食レポ)が定着し、海外での食体験の機会も増え、韓国人の美食水準が上がったせいだろう。

韓国人がコプチャンと聞いて思い出すのはこんな店
中央がソテチャン(牛の大腸)、手前がヨムトン(ハツ)

■コプチャンにはソジュ(韓国焼酎)が欠かせない

 内臓肉をあれこれつまみながら、松重が「コプチャンは酒好きの人にはいいだろうね」と言う。

 その言葉にしびれを切らしたように、ソンが「ここはソジュ(韓国焼酎)でしょう。コプチャンの脂っこさをソジュで流し、またコプチャンを食べる。悪循環です。もうがまんできない。ソジュ頼んでいいですか?」と返すシーンには笑ってしまった。

 ソンは悪循環と言っているが、ソジュ→コプチャン→ソジュは口福の無限ループである。牛(ソコプチャン)であろうが、豚(テジコプチャン)であろうが、ソジュとコプチャンの組み合わせは、韓国を代表する庶民の味覚なのだ。

火柱を上げるテジコプチャン(豚ホルモン)
コプチャンにはソジュ、が韓国の常識