毎回美味しそうな料理が登場するヒューマンドラマ『隠し味にはロマンス』が、Netflixで好評配信中だ。

椿の花咲く頃』で、お人よしの警察官を演じるカン・ハヌル(『イカゲーム 』シーズン2、『カーテンコール』)が、『隠し味にはロマンス』では高慢な大企業の理事を演じる。

 映画『密輸1970』で、男たちを翻弄する飲み屋のマダムを演じたコ・ミンシ(『誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる』)が扮する小さな食堂のシェフとの丁々発止のやり取りが、おもしろおかしく痛快だ。(以下、一部ネタバレを含みます)

■カン・ハヌル&コ・ミンシのケミが魅力のヒューマンドラマ『隠し味にはロマンス』

 大手食品企業「ハンサン」の理事、ハン・ボム(カン・ハヌル)は、「料理は、味よりも見た目が重要」と言い切るほど、傲慢で典型的な合理主義。人気食堂の店主から強引な方法で料理レシピを譲渡させ、必ずや自分が経営する店を三ツ星レストランにするという夢をもっている。

 ある日、入手したレシピと見た目がそっくりの料理を出している食堂があると知ったボムは、全州の路地裏にある小さな食堂「チョンジェ」を訪ねる。気難しそうな女性シェフのモ・ヨンジュ(コ・ミンシ)は、最高の味を引き出すために、素材の産地や作り手に深いこだわりをもつ人物だ。

 ヨンジュから料理レシピを聞き出すために、ボムは「チョンジェ」を手伝うことにするが、次から次へと問題が発生し……というところから物語は始まる。

「ハンサン」が雇ったシェフのチャン・ヨンヘ(ホン・ファヨン/『埋もれた心』)とヨンジュの料理対決は、第61回百想芸術大賞の放送部門で大賞に輝いたNetflix料理バラエティ白と黒のスプーン~料理階級戦争~』の熾烈な料理人対決を思い起こさせる。

 そんな緊迫感を解してくれるのが、脇を固める2名の登場人物だ。ひとり目は、キム・シンロク(『私の完璧な秘書』『涙の女王』)扮するチン・ミョンスクだ。『地獄が呼んでいる』では、文字通り身体を張った演技を見せた彼女が、本作では15年間働き続けた老舗クッパ屋での冷遇に耐え兼ね、ヨンジュからのスカウトにノリノリで働く女性を演じる。

 もうひとりは、そのクッパ屋の長男だが、社長である父に跡取りになることを認められていないダメ息子のシン・チュンスン(ユ・スビン/『愛の不時着』『スタートアップ:夢の扉』)だ。

 特に序盤に「チョンジェ」に対し、嫌がらせを繰り返すチュンスンの身に起こる不運な出来事が、まるでザ・ドリフターズのコントのようで、大笑いした。

 そして、ヨンジュ、ミョンスク、チュンスンの3人が交わす全羅道訛りの会話がテンポよく、小気味よい。

 Netflix大ヒット作『おつかれさま』でグァンシク(パク・ボゴム)の母を演じるオ・ミネが、本作ではボムの母で、著名料理家でもあるハンサンの会長を演じ、その存在感を見せつけている。

 全体の8割以上のロケが、「食の街」として有名な全羅特別自治道の道庁所在地、全州(チョンジュ)で行われたという点も、食をテーマにした本作に特別感を与えている。

 脚本は、ドラマ『ブルーバースデー』のチョン・スユン、演出は映画とドラマの『ブルーバースデー』を手掛けたパク・ダンヒが務める。

●配信情報

Netflixシリーズ『隠し味にはロマンス』独占配信中

[2025年/全10話]演出:パク・ダンヒ『弱いヒーロー Class1』(共同演出) 脚本:チョン・スユン『少年飛行』 クリエイター:ハン・ジュンヒ『D.P. -脱走兵追跡官-』シリーズ(演出・脚本)、『弱いヒーロー』シリーズ(クリエイター)

出演:カン・ハヌル『椿の花咲く頃』、コ・ミンシ『誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる』『五月の青春』、キム・シンロク『地獄が呼んでいる』シリーズ、ユ・スビン『愛の不時着』『弱いヒーロー Class2』、ペ・ナラ『D.P. -脱走兵追跡官-』シーズン2、ホン・ファヨン『埋もれた心』、ペ・ユラム、オ・ミネ