1年間にどのくらい飛行機に乗るだろうか。僕は『歩くバンコク』、『歩く台北』、『歩くソウル』などのガイドブックの編集にかかわっていて、バンコク、台北、ソウルをつなぐ飛行機に乗ることが多い。ルートや貯めているマイルを考えると、アシアナ航空に傾いていく。1年間に乗る飛行機の3分の1ぐらいはアシアナ航空のような気がする。いちばん乗るのは、東京~ソウル~バンコクという路線である。

■アシアナ航空が大韓航空に統合されると、どんな影響がある?

 アシアナ航空に都合のいいフライトがある。東京を午前1時台に出発し、早朝にソウル着。ソウルで打ち合わせなどをすませて、夕方のソウル発バンコク行きに乗る。それでも午前零時前にはバンコクに着く。帰国便でも同じような時間帯のフライトがある。

 ソウルはいつもトランジットである。韓国に入国するが、入国カードには泊まるホテルは書かない。1泊もしないのだから当然なのだが、入国審査ではときどき、「ホテルは?」と訊かれる。「トランジット」と答えるが、ソウルを出発する搭乗券を見せなくてはいけないこともある。

 このフライトで僕がよく利用するのが、エコノミークラスのなかのAというクラスだ。マイルの加算率が100パーセントで、ときどき、かなり安い運賃になる。僕にとってはありがたいクラスなのだ。

 アシアナ航空が大韓航空に統合されると、この航空券を利用できなくなる可能性が高い。大韓航空になるのだろうか。となると、貯めるマイルのアライアンスを変えなくてはならなくなる。

ソウルからバンコク行きのアシアナ航空の便に乗り込む。搭乗はいつもスムーズ(仁川国際空港)

 大韓航空を嫌っているわけではないが、心情的には旧国営航空系の飛行機会社を敬遠しがちだ。かつての日本航空のように、硬直化した態勢が見え隠れしてしまうことがあるからだ。いくつもの組合があり、風通しを悪くしていた時期もあった。

 日本航空は2010年に経営破綻した。その後の様子を見ていると、ずいぶん明るい雰囲気になった気がする。タイ国際航空も旧国営航空系だが、2020年に経営破綻した。それ以来、新しい機材への入れ替えや運賃設定が積極的になった。

 台湾は政治的な環境に左右される。チャイナエアラインは旧国営航空系で国民党に近いといわれる。対するエバー航空は民進党……。台湾の2大政党が航空会社を色分けにかかわっている。僕の台湾での知人の多くは民進党系で、彼らの前では、「チャイナエアラインに乗りました」とはとてもいえない空気がある。

 大韓航空は、「大韓航空ナッツリターン事件」が記憶に新しい。副社長の趙顕娥(チョ・ヒョナ)氏が、客室乗務員のサービスにクレームをつけ、飛行機を引き返させた事件だ。韓国では財閥の家族経営体質への批判が高まった。庶民にしたら恰好のパワハラに映った。

 キム・ヒエムン・ソリ共演の韓国ドラマクイーンメーカー』にも、「大韓航空ナッツリターン事件」をヒントにしたようなシーンがいくつか登場する。