■日本人には理解しづらい!? 韓国の複合味

 番組では、イ・デホ行きつけの店でソン・シギョンと松重豊は豚の茹で肉(テジスユク)や、タコ(ムノ)を丸ごと茹でたもの、豚の網焼き(テジソクセプルコギ)などを楽しんだ。

 釜山に限らず、慶尚道では祭祀でタコを一匹丸ごと茹でたものを供えることが多いため、それをメイン料理として出す飲食店もある。松重が言っていたように、日本ではタコを丸ごと一匹食べる機会は少ないそうだが、今年の日本は10月を過ぎても暑いようなので、疲労回復効果のあるタウリンが豊富なタコをぜひ釜山や慶尚道で食べてほしい。韓国では夏バテの牛もタコを食べると元気になるといわれている。

 ソン・シギョンとイ・デホが旨い旨いと言いながら食べたのが、タコと茹で豚とキムチを重ねてひと口で食べる三合(サマッ)だ。松重は三合を口にして、「韓国にこういう味わい方があるのはわかりました」とお茶を濁していた。

 韓国人があたりまえのように感じている複合味の幸せを、日本人が感じるのはなかなか難しいようだ。日本ではひとつの素材をシンプルな味付けで味わうことが多いせいだろう。

 最後に登場した豚のソクセプルコギ(網焼き)にネギ、ごはんを添え、エゴマの葉(ケンニ)とサンチュで巻いて食べたときも松重は同じような反応をしていた。

 どんな食べ方であろうが、豚肉の網焼きはごはんのおかずによし、酒のつまみによし、値段もそう高くはないので、日本の人にも食べてもらいたい。釜山でタクシー運転手にソクセテジプルコギやプルベク(豚プルコギ定食)が食べたいと言えば、人気店に連れて行ってくれるはずだ。

筆者が釜山で食べた豚のソクセプルコギ

●配信情報

Netflix『隣の国のグルメイト』独占配信中

[2015年]出演:ソン・シギョン、松重豊