韓国ドラマの面白さは、「人物設定の巧みさとセリフのセンス」が彩っている。ここでは、そうした特徴を大いに発揮している作品のなかから、特におすすめしたい「究極の3本」を選んでみた。韓国ドラマの真髄が発揮された3作の見どころや注目ポイントを紹介していこう。(以下、一部ネタバレを含みます)
■韓国ドラマの真髄が発揮された究極3選!
●『エスクワイア : 弁護士を夢見る弁護士たち』(2025年)
巨大法律事務所に潜む「悩める人間の痛み」を描き出したドラマである。主人公は訴訟チーム長のユン・ソクフン(イ・ジヌク)と新人弁護士のカン・ヒョミン(チョン・チェヨン)。対照的な2人の姿を軸に、法廷という場で揺れ動く人間の感情が繊細に紡がれていく。
依頼人は皆、心に深い傷を抱えている。ソクフンとヒョミンはその傷を法律という手段で癒そうとするのだが、勝ち負けの世界に「救い」は容易には訪れない。
しかし、ソクフンとヒョミンのように寄り添ってくれる弁護士がいることで、心の闇から解き放たれる人々が確かにいる。ヒョミンもまた、自らの人生に痛みを抱えた1人だ。結婚を申し込まれながら、家族の事情を明かした途端に背を向けられた。そんな現実の苦みを噛みしめながら、彼女は一歩ずつ成長していく。
ソクフンは「堅物」と呼ばれつつも、胸の奥に限りない温情を持っている。その人間味が画面の奥から滲み出てくる。
訴訟案件も社会の影を映す鏡のようにとても興味深い。このドラマは、人間の尊厳と希望を静かに照らす、誠実で温かな法廷群像劇でもある。
・配信情報/Netflix『エスクワイア : 弁護士を夢見る弁護士たち』独占配信中
●『私たちのブルース』(2022年)
懐かしい郷愁と人間の絆を描いた詩のような作品である。脚本は韓国ドラマ界の巨匠ノ・ヒギョン。この名人が紡ぐオムニバス形式の物語は、愛と赦しと再生が幾重にも交わる「人間交響曲」とも言える。
舞台となるのは、青く光る海と市場の喧騒が共存する済州島(チェジュド)。漁港の笑い声、潮風に乾く洗濯物、そして、夕暮れに染まる空――そのすべてが人生のぬくもりを伝えてくる。
登場するのはイ・ビョンホン、シン・ミナ、ハン・ジミン、キム・ウビン、チャ・スンウォン、イ・ジョンウン、キム・ヘジャ、コ・ドゥシム。こうした名優たちが、トラック行商人、海女、船長、銀行支店長、海産物店主などに扮して、素朴でありながらも深い物語を背負う人物を演じている。
各人が他者とつながり、あるときは主役に、またあるときは誰かの人生の脇役となる。人生の断片を束ねたこのドラマは、まるで潮の満ち引きのように、心を静かに揺らしてくれる。
・配信情報/Netflixシリーズ『私たちのブルース』